ゆきゆき

12日の殺人のゆきゆきのネタバレレビュー・内容・結末

12日の殺人(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

実際の未解決事件に材を取ったフレンチ・サスペンス。2016年10月12日の深夜、若い女性が生きたまま焼殺されるという陰惨な事件が発生する。現地の警察チームは捜査を開始するのだが、冒頭から示唆される通り最後は事件は迷宮入りとなる。これは刑事たちの執念の捜査が打つ手なしとなり敗北していく物語。

作品の雰囲気からは、同じく実際の未解決事件に着想を得たポン・ジュノ監督『殺人の追憶』を彷彿とさせる。展開的にも、浮かんでは消える容疑者に、捜査の行き詰まりにより追いつめられていく刑事と職権を逸脱した暴走、そして最有力容疑者の鉄壁のアリバイ・・・と似た部分が多い。未解決事件に翻弄される刑事の姿はどの国、年代でも同じなのか。

男関係が派手だった被害者。しかしそのことは犯罪でもないのに死んでからも偏見に晒され、苦しむ周囲の人々。人が殺されるということは、生きる者にも大きな傷を残す。

事件は未解決のままでやりきれなさが残りつつも、主人公は刑事として前を進み続け、新メンバーの後輩女性刑事も心強い。きっと事件の闇を振り払う日は来る、と思わせるラストにホッとなります。
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