晴れない空の降らない雨

山海経 霊獣図鑑の晴れない空の降らない雨のレビュー・感想・評価

山海経 霊獣図鑑(2022年製作の映画)
3.4
 チャニメ。主人公の白澤(瑞獣の擬人化キャラ)は神獣・妖怪たちの病気を治す医者で、唯一崑崙の医学で歯が立たない黒霊という病気を研究している。この黒霊というのがヴィジュアル的には瘴気の類で、もちろん攻撃したり爆発したりするので「病気ってレベルじゃねーぞ」という感じだが、正体はほぼ「うつ病」である。

 タイトルの『山海経』とは古代に書かれた地理誌だが、そこでは空想上の生物があたかも実在するかのような口ぶりで多数紹介されている。まぁプリニウスの『博物誌』みたいなもんだろうか。マーベルの『シャンチー』に登場した奇怪な生物たちも『山海経』に記された生物の映像化らしいが、本作では基本的に擬人化されており元ネタとは似ていない。日本でもお馴染みの九尾の狐は、姉御肌の武闘派ヒロインとして登場する。

 魅力的なキャラクターと物語のスピード感で飽きさせない作りになっているが、後半は風呂敷を畳むのがやや苦しくなるという、今までに観た中国製長編アニメにありがちな欠点を抱えている。追光動画の『ナタ転生』や『白蛇』シリーズと比べると、子ども向けの作品という印象。