丽遥

俺の拳銃は素早いの丽遥のレビュー・感想・評価

俺の拳銃は素早い(1954年製作の映画)
3.6
面白かったけど結局ライターに隠された暗号の意味はよく分からない🥹物語の筋が適当なのあるある🥹

全体的に日活ノワールの走りと言えるけど、スチュワーデスが殺される間際の影の演出は「最後の人」レベルの表現主義だった。犯人、子供、スチュワーデスの影が次第に大きく映され、画面のほとんどを包む闇となると、スチュワーデスの殺されるシーンへと映る。これが野口博志のスタイルなら、清順美学はその後継者と言えるのではないか?

子供がよく喋ってるのも特徴的だなぁ。「M」的な?鈴木清順はこの映画がお気に入りと言っていた。子供の拙く空想の入り交じった状況説明が事件を一層謎めいた、そして犯人をより脅威として仕立て上げる演出になっていたと思う。あと、子供の叫び声は女性のそれよりインパクト大

フィルム・ノワールだけど、アメリカ的では無いなと思う。主人公の風体はむしろフランスのジャン・ギャバン的?ファム・ファタールとしての京子も別に策略がある訳でもなく、純粋に相思相愛になってるし、最終的に逮捕されてもそこで破滅する訳ではなく、未来の幸せが約束されている。ハッピーエンドやん🥹京子が主人公を撃った男に対して仕返しをするシーン奇天烈ですこだった

あと、撮り方としても、時代劇の影響があるのかなと思った。まずハリウッドのフィルム・ノワールはここまで大勢で取っ組み合いすることない。むしろ敵複数名に1人で乗り込んでく感じだよな。警察も登場しないことが多いし。大勢で戦ってるけど複数名で1人を狙わないのは日本の伝統的な戦い方な気もする。大勢の戦いをロングショットでやや上から撮るのはチャンバラ時代劇の系譜よね

とはいえバーや雨、暗黒街などは典型的ハリウッドのフィルム・ノワールだから、そのスタイルを元に従来の日本映画のジャンル(時代劇や松竹大船調)を組み合わせて独自の発展を遂げたってことで良さそう
丽遥

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