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旅するローマ教皇のKUBOのレビュー・感想・評価

旅するローマ教皇(2022年製作の映画)
4.0
『海は燃えている』のジャンフランコ・ロージ監督による、ローマ教皇フランシスコが、2013年の就任以来9年間で53カ国を訪問した「旅」の、800時間にも及ぶ膨大なアーカイブを編集し、時系列を追って教皇の旅を描いたドキュメンタリー作品。

「難民問題」「武器や兵器の問題」「教会による性的虐待」「台風被害」などなど、教皇の旅は世界のあらゆる地域を巡り、この映画を見ているだけで今世界が抱えている多くの問題が浮き彫りになる。

広島では平和記念公園で行われた式典に参列し、

イラクのシーア派の最高権威と会談し「キリスト教とイスラム教は兄弟だ」と呼びかけ、

ウクライナ戦争に関してプーチンに会えたら何と言うかと問われて「正しい戦争はない」とズバッと言う。

ローマ教皇って、国王ではないし、どこの同盟国とかでもないから、何にも忖度せずに正しいことをちゃんと言える。

仏教徒の私にはもう一つよくわからないけど、ローマ教皇の人気ぶりってスーパースターかミッキーマウス並だな。どこの国でも大フィーバーだ。えらい坊さんが来ても誰もハグしないだろうしね。

本作は、教皇が『海は燃えている』を見てくれたことがきっかけでロージ監督と会い、撮ることになったのだという。

「人生に勇気を持て、リスクを追い続けろ」
教皇はロージ監督にそう声をかけたと言う。

「旅とは知的で精神的な修行だ」

「常に夢を追い求めなさい。恐れずに夢に向かいなさい。世界の夢はまだ目に見えていなくとも、必ずいつか実現します」

世界中が情勢不安な今、誰もが救いの手を求めている混迷の時代に向けた、素晴らしいドキュメンタリーだ。
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