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旅するローマ教皇のsamiamのレビュー・感想・評価

旅するローマ教皇(2022年製作の映画)
4.0
現ローマ教皇については「ローマ法王になる日まで」と「2人のローマ教皇」と2作を鑑賞済み。どちらも面白かった。「。。。なる日まで」は現教皇の背景がよく分かる半生が描かれていたし、「2人の。。。」は彼らのキャラクターを如実に描いた会話劇だった。
ドキュメンタリーは初めて。
本作は前述2作とまったく矛盾しない内容であった。苦労人である彼の神に対する、また、人に対する態度、思いがよく表されているドキュメンタリーだった。

全世界で行われてきたカトリック教会の聖職者によるえげつない不祥事、少年に対する性加害について正面から向き合い謝罪し厳格な処分をした初めての教皇ではないだろうか。
ある特定の不祥事について記者から見解を求められた時に、「証拠が明らかになってからコメントする」と言ってしまったことについて、被害者に対してとんでもないことを言ってしまったと悔い、謝罪する姿は、聖人ではない謙虚で誠実な一人の人間であったと思う。
旅する先は極貧国、刑務所、イスラム教国家、ガザなど本当の平和、和解を求めて。。。必ずしも歓迎されないエリアにも。。。兵器に対して忖度無い一貫した発言で。。。

すべての宗教はこれまでの歴史の中であらゆる悪行をしてきたために、宗教を悪の権化、巣窟だと全否定する人がいることは理解できる。しかし、本当は戦争や搾取などそれらの悪行は宗教の教えからではなく宗教の名に隠した強欲、罪悪からきていると本作は語る。。。

キリスト教、ユダヤ教、イスラム教を全否定する人は、学校で習う通りいっぺんの知識や記事になる不祥事の外観だけを見て、本作のカトリック教皇や「幸せへのまわり道」のフレッド・ロジャース(プロテスタントの牧師)やヤスミン監督作のイスラム教の聖職者の様に真に教えを実践している人に接したことが無いのだと想像する。。。

今もガザ地区ではそのような考えを、宗教イコール悪だということを、肯定するしかない行為が行われていることが悲しい。。。

ところで、本作で猊下という言葉を初めて知った。。。😅
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