ぶみ

ドミノのぶみのレビュー・感想・評価

ドミノ(2023年製作の映画)
4.0
ひと押しで、〈世界〉は崩れ出す。

ロバート・ロドリゲス監督、ベン・アフレック主演によるスリラー。
娘が行方不明となっている刑事が、その事件の鍵を握る謎の男を追う姿を描く。
主人公となる刑事ダニー・ロークをアフレック、相棒の刑事ニックをJD・パルド、事件の鍵を握る謎の男をウィリアム・フィクナー、途中からロークと行動をともにすることとなる占い師ダイアナをアリシー・ブラガが演じているほか、ダイオ・オケニイ、ジャッキー・アール・ヘイリー等が登場。
物語は、公園で一瞬目を離した隙に娘が行方不明となってしまったロークが職場復帰するシーンでスタート、その後、銀行強盗事件が発生し、鍵を握ると感じた謎の男を追ったところ、忽然と姿を消したあたりから頭にはてなマークが浮かび始め、その後は考える間もなく、テンポ良く進み、あれよあれよという間にエンドロールを迎えることに。
ダンディーだけれども胡散臭い男を演じさせたらハリウッドの中でもトップレベルとも言えるフィクナーが、本作でもハマり役であり、その佇まいやダークスーツ姿は、ニコラス・ケイジ主演『ドライブ・アングリー3D』の謎の監査役を彷彿とさせるものであるとともに、ダイアナを演じたブラガをジョーダナ・ブリュースターと勘違いしていたのは恥ずかしい限り。
また、鉄道の貨物輸送においてコンテナがメインとなった日本では、貨物列車の組成、入換を行ってきた操車場は絶滅してしまったが、本作品では中盤に、往年のアクション映画では、銃撃戦の定番だったとも言える広大な敷地の操車場が舞台となるシーンがあったのは、鉄道ファンとしては見逃せないポイント。
思いのほかスケール感は大きくないものの、細かなことは気にせず、監督が紡ぎ出す目眩く世界観に、流れるままゆったりと身を任せることで、映画らしいエンタメ体験ができるとともに、公開前、スクリーンで本作品の予告編が流れた際に、目を瞑って余計な情報を遮断していたことが功を奏した良作。

13回目の準備をしろ。
ぶみ

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