カポERROR

ドミノのカポERRORのネタバレレビュー・内容・結末

ドミノ(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

【貴方はきっとまだ騙されている】

こっちが正真正銘、ロバート・ロドリゲス版の『ドミノ』だった(^^;ホッ
(ブライアン・デ・パルマ監督に陳謝。)

さて、期待の本作…
・ベテランのバス添乗員ばりに饒舌な
 エージェント ダイアナの説明台詞
 長過ぎ問題
・秘密組織『ディビジョン』という名の
 劇団出身俳優集団(?)
・構想20年🟰20年前の作風のまま
 製作しちゃいました(?)
…と、一見ツッコミどころ満載のパチモン『インセプション』の如きインプレッションだった。
だが…ちょっと待て。
あぁ、私としたことが、危うく最後まで騙されるところだった。
本作、こと鑑賞者を”欺く”という観点で言えば、実に狡猾でトリッキーな怪作ではないか。
こいつは一筋縄ではいかない。

以下、ガッツリネタバレ考察となるため、未見の方は御注意あれ。

✤✤✤

まず、全編を通して確かな事実を先に言っておこう。
「本作で人間を虫けらのように大量に殺めたのは、秘密組織『ディビジョン』の一味ではなく、実に10歳のミニーとその養祖父母だけである。」
ラストバトルにて。
能力を覚醒させたミニーならば、あの程度の数のエージェント、命を奪わず御することなど造作もなかったはずなのだ…そう、人並みの良心さえ持ち合わせていれば。
だが、弱冠10歳の彼女は、躊躇なく彼らを皆殺しにした。
そして殺戮後、その感情のない眼(まなこ)でデルレーンを睥睨する。
一方の『ディビジョン』側は、ラストに至るまで、ただの一人も殺人を犯していない。(ラストのカールだけはグレーだが。)
前半で描写されていた破壊や暴力は全て現実ではなく、組織がダニー・ロークの脳内に見せていたまやかしのビジョンなのだから。
この組織、”世界に未曾有の脅威を与え得る潜在能力を有した異能者の捕縛”という最凶ハードミッションに挑んでいるにも関わらず、「一般人に一切危害を加えない」、「大規模な破壊工作を行わない」、「調べれば分かるであろう敵の養父母を人質に取ることもしない」、「現実での殺人行為など以ての外」「(何なら)予算すら潤沢に与えられないのか、極めてチープなハリボテセットを何度も使い回しながら地道に対象人物の記憶を探るための諜報活動に勤しむ」…と、実に善良で人道的な組織なのである。
(韓国映画『The Witch/魔女』の組織とは大違い。)
そう、何かがおかしい。
拭いされぬ違和感を覚えた私は、本作のキャラクターのビジュアルや台詞から植え付けられた全ての印象を一旦リセットし、現実に起こった事象だけを並べて、常識的に物語の本質を考察してみた。
その結果、以下仮説に辿り着いたのである。

──────────

…ドミノ(ミニー)は
 文字通り
 やがてこの世界の理(ことわり)を
 指一本で瓦解させる力を隠し持つ
 決してこの世界に生まれてはいけない
 悪魔の子だった…

…秘密組織『ディビジョン』は
 世に生まれいずる異能者を保護し
 ヒプノティックを駆使して
 力を発動させる意志そのものを
 コントロールする特命を受けた
 政府機関…
 
…まだ潜在能力が顕在化していない
 幼きドミノを厳重に庇護し
 その強大な力の行使を
 封じようとした…

…その一方
 7歳になり
 組織の思惑を感知した悪魔の子ドミノは
 彼女を愛する父ダニーに対し
 組織が用いている
 ヒプノティックを使う
    『自由になりたい』
 その言霊によって
 彼女はダニーに
 自身を組織の施設から連れ出させ
 誰にも居場所を悟られぬ場所に
 隠匿するよう促した…

…のみならず
 組織の捜索の手が及ばぬよう
 彼女は
 父ダニーに母ダイアナの記憶を奪わせ
 ダニー自身の記憶をも自ら封印するよう
 彼の脳に命じた…

…そしてもう一つ
 ドミノは
 組織の手から逃れた先で
 彼女の強大な力が覚醒する
 10歳を迎えたその時に
 自身を迎えに来るよう
 父ダニーに強力な暗示を掛けたのだ
   『パパ、ずっと愛してる』
 その強力なヒプノティックは
 決して破られることはなかった…

…10歳になった悪魔の子ドミノは
 その強大な力を解放し
 訪れた組織をいとも容易く
 壊滅させた
 そしてこの世界の秩序を
 指一本で瓦解させるために
 決して裏切ることのない両親を携え
 何処へと飛び去っていくのだった…

──────────
 
ダニーが記憶を呼び覚ましたタイミングが元々暗示で仕組まれていたものとは言え、その瞬間がダニーの催眠シミュレーション”13周回”直後だったのは中々意味深ではないか。
言うまでもない…ユダ…ロキ…サタン…忌み数13の所以に思いを巡らせてしまう。
悪魔の子のなせる技よ。
そして、お気付きの通り、本作ラストで『ディビジョン』を統べるデルレーンの生存が確認されている。
そう、この物語は終わらない。
デルレーンこそが、悪魔を狩るこの世界の最後の希望なのだ。
は?
あんな悪人面が希望なわけないって?
失礼千万!
『ブラックホーク・ダウン』のジェフ・サンダーソン観てからものを言いたまえ。
御歳67歳の名優ウィリアム・フィクナーには、本作続編の主人公…正義の使徒としてもうひと頑張りして頂こう。
…まぁ、この評価と興収じゃあ続編は無理そうだが。
ツッコミと考察のしがいがありまくりの本作『ドミノ』。
現在、U-NEXT、Lemino、TSUTAYAオンデマンドでレンタル配信中。

注記)
上記は一個人の妄想による全く根拠の無い世迷言です。
思いっきりフィクションですので、くれぐれも真に受けぬようご注意ください。
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