ノラネコの呑んで観るシネマ

窓ぎわのトットちゃんのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
4.7
原作は40年前に読んだきりで、ぼんやりとしか覚えてない。
昭和15年に、尋常小学校で問題児扱いされたトットちゃんこと黒柳徹子が、私立のトモエ学園に転校する所から始まる。
序盤は、自由な校風の中で水を得た魚のように躍動する主人公の姿が描かれ、中盤以降徐々に戦争の影が物語を覆ってゆく。
改めて映像で見て思ったが、この人って超お嬢様なんだな。
「この世界の片隅に」と同時代の話だが、こちらは庭付きの洋館に住んで、冷蔵庫やガスコンロもあり、大型犬も飼っているセレブな暮らし。
彼女だけでなく、トモエ学園の生徒は皆裕福そうで、やっぱり家庭環境による教育格差ってあるよな〜と思ってしまった。そもそも私立だし。
映画的なクライマックスは、大切な人を喪失した主人公が、葬儀の後に街を駆け抜けるシークエンス。
それまで隠れていた世界の歪みが、一気に無垢な目に見えてくる秀逸な描写が光る。
今年は戦争をモチーフにした作品が目立つが、この時代をリアルな子供の視点で描いたのは貴重。
アニメーション表現も、極めて丁寧でハイクオリティ。
どことなく昭和のイラストを思わせる、キャラクターデザインがいい。
タイトルロールを演じる大野りりあなちゃんも見事なハマりっぷりだが、ママ役の杏が上手すぎる。
ブログ記事:
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