このレビューはネタバレを含みます
試写会で観に行った。
教訓たれたことを聞かせられるかと思ったが、スパイスが見え隠れする絵本を映像化してみました、くらいのふんわり感だった。
「トットちゃんの人生」というより、「小児麻痺の男の子との友情そして別れ」の話で、パステル調の豊かな経験をしながらも時代に翻弄される若き黒柳徹子さん。
やけに変な空白や暗喩で考察させるアニメが多いこの時代、これくらいの味付けが見やすいのかも。泰明ちゃん、自殺だよね。
謎だったのは、木からどうやって降りたのか、そしてお父さんが付けたあだ名「トット之介」の由来くらい。
またその分、可もなく不可もなくというか「平和は尊い」「戦争は日常へ徐々に棲みついてゆく」ことで気持ちが完結してしまった。
映画エンディング辺りの校長先生、演出がラスボスみたいでちょっとオモシロ風味に受け取ってしまった。
あとは食パンの焼き方が今と比べると異様だった。ガスで焼くし円錐の鉄板にパンをもたれかける設計、時代柄なのかな?
これはやはり本、文章の方が沁みるかも。「この世界の片隅に」と通じる温度がある、と聞いて観に行ったけど、戦争という時代へのアプローチ方法が全然違って、これはこれで素敵だなと思った。