舐めてた、舐めとった。
予告編で何回も観て聞いた「トットちゃんだよ。」というセリフへのイラつきと全員何故かチークとアイシャドウと口紅塗ったようなキャラデザインへの拒否感から期待値が限りなく低かったのですが、終わったら泣いてる。
こう言うアニメももっともっと必要です。
黒柳徹子の自伝「窓ぎわのトットちゃん」のアニメ化です。
僕が小さい頃にトットちゃんブームがありましたね。
続編の「トットチャンネル」が斉藤由貴主演で映画化されたりしていました。
自由奔放で学校を放校されたトットちゃんが行き着いたトモエ学園での日々を描きます。
今だったら注意欠陥・多動性障害と診断されそうなトットちゃんを暖かく見守る校長の小林先生の聖人ぶりが凄い。
本当にこの先生に出会わなければ黒柳徹子というパーソナリティは絶対にできていなかったのだろうと思います。
空襲で燃え落ちる学校を見ながらもニヤリと笑う小林先生の教育への執念が凄いです。
でもこの教育を受けられたのもトットちゃん家や周りの生徒めちゃ裕福なこともあるんでしょうね。
昭和16年から19年を順に描くことで段々と戦争の影が濃くなり日本に余裕がなくなっていくのが描かれています。
説教くさくなく自然に戦争ってイヤな物だと感じさせてくれます。
優しい駅員さんがいなくなるのとか上手いですよね。
少女期の終わりの描き方としても素晴らしく、ちんどん屋さんに対して無邪気に飛び出していたトットちゃんが大人になったラストシーンは逆に子供でいられない時代の悲しさを感じさせる名シーンだと思います。
予告ではイマイチかと思っていた芸能人の声優っぷりはみんな上手かったです。
特にトットちゃんを演じた大野りりあなは7歳!
少し成長したトットちゃんの演技とか自然でメチャ上手くない?
もうホント、トモエ学園のみんなは全員幸せになってくれ〜と願う別れのシーンに不覚にもグッと来ました。
アニメーションとしても素晴らしく背景美術とかメチャクチャ力が入っています。
各々タイプの違った表現で描かれる夢や夢想のシーンも良かったです。
今クールで最も期待していなかっただけにグッサリと刺さったとても良い映画でした。