マリンブルー

窓ぎわのトットちゃんのマリンブルーのネタバレレビュー・内容・結末

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

原作未読で鑑賞。
ポスターのビジュアルでビビッと来るものがあり見てみた。
トットちゃんと泰明ちゃんの二人の関係(成長)に主軸を置いた話で、鑑賞後に見ると感慨深いものがあるポスターだ。二人のエピソードのハイライトである(他にも良いシーンは一杯あるが)木登りのシーンが印象的に表現されている。

前半はとにかくトットちゃん始めとしたトモエ学園の子どもたちの動きや表情で楽しませてくれる。余計なセリフ抜きでどんな子どもなのか伝わってくるというのは、ここ最近のアニメ作品では感じたことのない感覚だった。

そんな学園生活の中、小児麻痺の障害を持つ泰明ちゃんと交流を深める。
いつも教室にこもって読書ばかりだった泰明ちゃんが、出来るはずもない「木登り」や「プール」に半ば強引に?トットちゃんと挑戦し、成功していく過程の描写。見ているこちらもハラハラし、成功したときの達成感と感動は涙を誘う。

そんな二人にも戦争の影は忍び寄り、雨の中歌っているだけで通りすがりの大人に怒られてしまう。泣いてしまうトットちゃんを前に、水たまりでリズムを刻み歌って見せる泰明ちゃん。ここから暗い世界が一気に輝き、軍隊のポスターさえ真似っ子して遊んでしまう子どもたちの発想力・想像力・たくましさ。内気だった泰明が底抜けに明るいトットちゃんを逆に励ます成長。
これはアニメでないと表現できない、名シーンだと思う。

そんな中、突然訪れる泰明ちゃんの死。教会を飛び出し、軍事パレードの中を泰明ちゃんとの思い出が駆け巡る。そんな中でも傷痍軍人やいじめられる子ども、「弱者」たちの姿を映し出し、愛国心・戦争への皮肉を重ねる描写に感動。
かぐや姫の物語の姫が飛び出すシーンっぽいと思ったら、同じ美術監督さんだったんですね。納得。


最後の疎開に向かう列車で泣く弟?妹?をあやしながらちんどん屋を見つけるシーン。君は本当はいいこなんだよ。と小林校長の言葉をトットちゃん自身が言う立場に変わるところに、トモエ学園での成長を感じる良いラストだったと思う。


見ているだけでも楽しい子どもの描写、戦争が「子供らしさ」を奪ってしまう悲劇という2つの要素を見事に合わせたこの作品。
トトロ+火垂るの墓と言っていいのでは?(同時上映されてたし)

泰明とトットちゃんの関係性も、清太と節子の関係に被るし。グッドエンド版火垂るの墓??
マリンブルー

マリンブルー