藍紺

窓ぎわのトットちゃんの藍紺のレビュー・感想・評価

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
4.1
個性的で自由すぎるトットちゃんが地元の小学校から追い出されて、トモエ学園に入学するくだりからとにかくストーリーに引き込まれた。原作「窓ぎわのトットちゃん」は小学校時代に読んで以来だが、挿入されるエピソードがどれも胸に響くものが多くてずっとハンカチが手放せなかった。

友を想う気持ちの尊さ、友に自分の好きなものを見せてあげたいと願う気持ちの美しさ、友との別れの苦しみや悲しみ。トットちゃんと級友達が互いを思いやる姿がほんとにグッとくるんだ。
と同時に、太平洋戦争に突入しどんどん色を失っていく東京の様子が、トットちゃんの視点で淡々と描かれる。戦争を知る世代が少なくなっている今こそ、経験談を知っておくことはとても大事だと思う。悲しみの中、トットちゃんが軍国主義に染まった街を疾走するシーンは印象的だった。

そして何より、トモエ学園の小林先生が素晴らしい。大きな愛と志の高さ、教育者としての厳しさを持った小林先生との出会いがトットちゃんにとってどれほど重要なものだったかは、その後の黒柳徹子を知れば想像に難くない。役所広司、声だけの演技も一流……!凄すぎた!

鮮やかで希望が持てるラストの締めくくり方も良かった。

予告を観た時、これは観なくてもいいかなと思ってたけど(正直絵が苦手かなと…、ごめんなさい)、SNSやフィルマの反響の大きさに慌てて劇場に駆けつけました。観て良かったです。皆さんいつもありがとう。
藍紺

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