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窓ぎわのトットちゃんの鹿のネタバレレビュー・内容・結末

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

絵柄はそんなに嫌いではない。むかーしの少女雑誌(?)に出てくる美少女から過度なキラキラを抜いた感じのトットちゃんはいいと思うんだが……。成人男性にまで紅をさしたような彩色はどうも……。そしてこれは鹿の人(?)格が疑われるかもしれないが、幼児に対してその表現に性的ないやらしさを感じてしまうことが多々あった。それがなければ、ひとりの裕福な家に生まれた、今なら何か病名が付きそうな協調性のない少女が、両親に愛され、先生や友達との出会いや別れ、至るところに存在する差別、どうしようもない戦争という激動の変化のなかで、個性を潰されずに生きた、本人による再構成された物語として興味深い。「あの時、あの人と出会わなければ、今の私はなかった」というのは、よく聞く、陳腐にさえ感じる言葉だが、そう思わせない感謝や愛にあふれた物語だ。一方で、魂を売らずには生きることすら困難な状況で、劇中で「魂を売らなかった」人たちがどんな人生を歩んだのかは気になるところである。
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