金柑

窓ぎわのトットちゃんの金柑のレビュー・感想・評価

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
4.3
陳腐な言葉で言うとみんな観るべきだと思う。これは家族みんなで観られる戦争アニメ映画 今はよく分からない場面があっても大人になってからもう一度観たり思い出したりすればいいと思う
映画で物語なので劇的な展開もあるんだけど、少しずつ侵食されていく中で生きてきたトットちゃんのお話。そしてそれを見守った大人たちのお話。ご本人のナレーションによる説得力と安心感が物凄かった。

私はよく泣きました なぜか最初に泣いたのは二人三脚だった お葬式以降ずっと私含め誰かしらすんすん鳴らしていた 

色んなことがありながら続いていた生活が気づいたら根元から少しずつ変わっていて、そこかしこにその片鱗はあるけど無邪気な子供達はただ受け止めて乗り越えて生きていく ただ暮らしているのに、気づくとお弁当は少なくなってとってもお腹が空いて悲しくて涙が出る

原作はたしか小学生の頃に学級文庫で読んだきりだったと思う。机の開け閉めが楽しくて文房具を一つ取り出すごとに開け閉めしてたってエピソードが赤毛のアンだっけ?トットちゃんだっけ?って長年思い出せてなかったのがようやく解決した。
本を読んでいた当時は戦争の話だなんて印象全くなくて"ちょっと変わってる楽しい学校のお話"と思っていたと思う。海のもの山のもの、懐かしかったな
あと本読んでた頃は「教室が電車」というのがどうにもうまく想像(視覚化)できなくてちょっとふわっとしたイメージのままだったんだけど、映画でとても具体的に見せられてこれが電車の教室!!!!ってなったのは嬉しいポイントだったかもしれない

「侵食の描き方がすごい」と聞いていたけど普通に明白では?と思っていたら駅員さんで震えてから後半の流れで圧倒された。
軍艦一覧図というものは初めて見た気がする。

音楽の印象がかなり強かったので調べたら猫の恩返しとか日常とかやってる人だった。豊かな音で素敵だったけどちょっと主張が強すぎるなとか、あと音楽関係ないけど暗転が多いなとは思った
オケの演奏すげえなと思ったら特別演奏にN響がクレジットされてた、どうりで。
あとお父さんが家で弾くバイオリンの音色は、同じ部屋にいる人がバイオリンを弾いている時の音圧、掠れの音、でした 部屋で弾いてると耳の奥までビンビン震えるし掠れの音は意外と聞こえる

役所広司は安定して素晴らしかったし杏が声優こんなにできるとは知らなかった
りりあなさんは一体何者???芦田愛菜さんに次ぐ凄さでは

マイゴジもあったし、溜まってた朝ドラはちょうど戦争が始まったあたりまで来たのでまたあのラジオの臨時ニュースだった 


少し気になったのは少年少女の全裸が多少省略されてるとはいえ普通に出てくるところと、女の子の動きがとっても"女の子"なところ あの時代の少女たちはみんなあんな感じだったのかな もうちょっとガサツな女の子とかぶきっちょそうな女の子がいても良くない?男の子は綺麗めな子からいわゆるガキンチョまでいたのに
金柑

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