JAB02440

窓ぎわのトットちゃんのJAB02440のレビュー・感想・評価

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
5.0
萌えの要素を排除した唇に色がついたキャラクターデザインの予告でちょっと引いてDVDでもいいかなと最初は迷っていたが、見に行って大正解。ジブリのような映像を作り続けている新生ドラえもん映画のスタッフが作っているということで映像のクォリティはよいのだろうけど、内容は予定調和的なパンチのないものかもと思っていたが、予想の斜め上を行く出来。映像的にも最初は童話的な大人しい映像だが、ときどき入ってくるトットちゃんの妄想や夢の映像の美しいこと、楽しいこと。アンクルトムズケビンの絵を使った操り人形風の絵で描かれたトットちゃんと泰明ちゃんが逃げまくる悪夢の場面はそのテイストでやろうと考えたアイデアもすごいし、そのシーンを担当したアニメーターにも脱帽。また、カラクリスコープの映像にマルチプレーンを使ったり。商店街を走っていくトットちゃんを追いかける映像を3DCGで作ったり。特に目を見張るのは中盤の木登りのシーンでの日光にあたった眩しさを表現したトットちゃんと泰明ちゃんの場面。そして特筆すべきはエピソード選びとストーリー構成の匠さ。徹底的に抑えた演出でとても手練れて老獪。成長していくトットちゃんの描写もいいし、軍歌は演奏したくないと決めるおとうさんのキャラ、学校が焼かれても次はどんな学校を作ろうかとメラメラと目に炎を燃やす小林先生なども魅力的でよかった。興行的に苦戦しているようだけど、これは本当に大傑作。
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