ひでG

窓ぎわのトットちゃんのひでGのレビュー・感想・評価

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
4.1
上映会も含めて映画館鑑賞、今年の締め作

僕は運命論者ではないですが、本作を含めて55本の最後の2本が「PERFECT DAYS」と本作だったことは、2023年、現在の自分にとってとても意義深い出逢いに感じてしまいます。

予告編は観ていたし、もちろん原作も知ってるし、確か読んだこともあった。(🙏)
でも、皆さんの評価、つまりFilmarksがなければ、暮れの30日にこれをチョイスしていなかったでしょう。
そーゆー意味でも、Filmarksの皆さんとの
出逢いのありがたさを改めて感じます。ありがとうございます。

さて、普通の学校では適合できずに転校を余儀なくされたトットちゃん。

そんなトットちゃんを受け入れてくれたのがトモエ学園。
校長先生は、初めて会ったトットちゃんに
「キミのことを話してごらん。」と、小学校で問題児の烙印を押されたトットちゃんの言葉をゆっくり時間をかけて聴きます。
「もうそれでおしまいかい?」
キョトンとするトットちゃんに、校長先生は、魔法のような素敵な言葉を投げ掛けます。
「きみは本当に良い子だよ。」

今までの学校では、全く受け入れられなかったトットちゃんが初めて認められ、仲間として迎え入れてもらえた瞬間です。

その後、物語はトットちゃんと身体に障害を抱える泰明ちゃんとの関係や小林先生の教育実践(こんな硬い言葉は似つかわしくないですが)などのエピソードを繋げて進んでいきます。
あることが起きるまでは、、、
(特に泰明ちゃんのプールのシーンでは落涙しましたし、あのプールでのこと、あんなこと今したら、小林校長は児童虐待で逮捕されちゃいますね、、)

あることが起きる(大きくなる)場面もとても印象的ですね。いつも当たり前にやっていたことができなくなる、非日常が日常を押し潰していくのですね。(天気予報が、、、)

戦争が激化するところも、あくまで子ども目線、トットちゃんたちの世界中心に描いています。それが「この世界の片隅に」を想起させたのかもしれませんね。
戦争こそ最も個々の個性や障害わ蔑ろにする社会状態だということを改めて感じました。

さて、最後に、ここからは個人的な想い、この映画との繋がりみたいなものを追記して締めたいと思います。

トモエ学園は空襲で消滅させられます。と同時にトモエの教育も世の中から消えて無くなります。それら戦争が終わった後も今までずっとです。

トモエの教育が完全に素晴らしく、普通の学校教育が全面的にダメだなどと短絡的な決め付けをしたい訳ではありません。
しかし、あまりにもかけ離れてしまい、また今もトモエ以前のトットちゃんを多く生み出してきたのではないでしょうか。

「何でも好きなことから勉強しなさい。」小林校長のあの方針が公立でできるばずがないことは他職の方よりよく分かっているつもりです。でも、絶対に無理な無謀なやり方、昔の一部の裕福な私学だからできたと決め付けるだけでいいのでしょうか。(僕だったら、臭いトイレを引っ掻き回している子を怒り、やめさせていたでしょう。小林先生、あなたはなぜそんなに大きいのですか?)

黒柳徹子さんは、この自伝に、そして映画化に、何か「今、話しておかなければいけない!」と強く思われたのではないでしょうか。

小林校長が劇中一度だけ声を荒げる場面があります。🙏さい、私は咄嗟にはその意味が分かりませんでした。個性を伸ばすことと繊細な配慮、この二つを同時にできてこそのプロ教師なのだと、小林校長先生から学びました。

この素晴らしく自伝が素晴らしいクリエイターたちにより、より輝いた素晴らしい作品になり、私が鑑賞した回も小さなお子様連れのご家族などでかなり席が埋まっていました。きっとトットちゃんや泰明ちゃん、小林先生の思いを感じられたのではないでしょうか。

「PE RFE CT DAY S」と共に年の瀬にこの映画に出逢えたことの意味(どちらも役所広司さんや〜)を考えています。

映画レビューはあと一本!
恒例(ひとり遊びです😓)の「ひでGアワード」(年間ベストテン)の発表で締めたいと思っています。ありがとうございます!
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