脳みそ映画記録

窓ぎわのトットちゃんの脳みそ映画記録のネタバレレビュー・内容・結末

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

 12月30日、『窓ぎわのトットちゃん』と『PERFECT DAYS』で映画納めとしましたが、これは大正解。

 2023年ってスパイダーバース2とかミュータント・タートルズとかディズニー100のウィッシュとか強いアニメ映画が多かったけど、最後の最後でアニメ映画の今年トップが塗り替えられました。

 そもそも、『窓ぎわのトットちゃん』はスルーするつもりでいた映画だったのですが、観た人の評判があまりに良いものだったので駆け込みで観に行きました。

 結論から言うと、この映画をスルーしようとしていたなんてとんでもない!
観て本当に良かったし、これなら子供が観ていろいろなことを考えるきっかけになるんじゃないでしょうか。

 まず、画作りはデジタル処理だけでなく手描に拘っていて、鮮やかで温かみのある画が動いているという純粋な感動があります。色付けなんかも水彩っぽさがありますよね。膨大な数のアニメーターが尽力したそうです。そりゃあ、あれほどのものを動かしているんだからな。

 次に時代考証です。パンフレットにも時代考証に苦慮したとあります。
当時の町並みやトモエ学園、黒柳家の細部のルック的なものから言葉遣いや雰囲気など、黒柳徹子からの聴取や写真や文献などから拾い上げて作ったそうで、映画の中でも本当に丁寧に描かれていて、これは徹底していてすごいと感じたものです。

 肝心の内容についてはなんども泣かされるシーンがありました。劇場でも鼻を啜る人が多かったです。
 私は、泰明ちゃんの汚れた服をみて泣くお母さんのシーンがとても好きです。でも、泰明ちゃんは何故お母さんが泣いているかわからないから「お洋服を汚してしまってごめんなさい。」というわけですよ。いやもう泣くでしょ!

 また、子どもたちの世界に少しずつ戦争が侵食してくるのもとても印象的。子どもは変化を感じとっていています。なぜ駅員さんはいなくなったのか、なぜパパやママと呼んではいけないのか。
 泰明ちゃんの葬式から走り出すトットちゃんの目からみた街の様子は明らかに変貌していました。
 そして、トットちゃんの目線のみで語られない部分(トットちゃんが見ていない部分)にもフォーカスが当たっていて、明らかに過去を振り返る黒柳徹子の目線がきちんとあるんです。

 劇中で2回語られる小林先生の「君は本当に(は)良い子なんだよ」は子供たちにとって大切な言葉です。ここも良いシーンですよね。これを言ってあげられる大人ってあんまりいないかもしれないです。
この映画の大人って素敵な人が多いんです。
この映画って子供にも大人にもみてほしい映画ですよ。