まめちち

窓ぎわのトットちゃんのまめちちのレビュー・感想・評価

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
5.0
日本に生まれながら原作未読でここまで生きてしまったまめちちですけども、せっかく見やすい長編アニメになってるし、ここを逃したらホントに死ぬまで触れずに行くかも知らんよな、というほぼ危機感のような思いで観てきました「窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)」!


◇ひとこと感想

黒柳徹子さんが戦時を乗り越え今も存命であるという最大のネタバレを抱えている作品ですが、戦時である危険性以前に、落ち着きのなさを通り越したあのバイタリティの子供が、よくぞここまで無事に生きのびたなという部分に、まずもう泣けてしまいました。いや、観といてよかった。めっちゃいい映画、面白かったぁー…!

以下ネタバレ含むよ。


◇ネタバレ含むフタコト感想

そう、反戦のオハナシではあるんだけど、戦争自体の具体的な絵があるわけではないことがすごくって。

なぜ食べ物の歌を歌うだけで見知らぬ大人に怒られなければならないのか、なぜ改札のおじさんは桜が散る季節を境にいなくなってしまったのか、なぜある日から突然ママのことをお母様と呼ばなければならないのか、パパのバイオリンはなぜ軍歌を紡げないのか、今まで違和感としてしか感じられなかった世界のゆがみが、大切な人はいつでもどんな時でも突然自分のそばから失われてしまうってことを実感した瞬間にはじめて、走り出したトットちゃんの目の中に一気に飛び込んでくるあのシーンがもうとにかくめちゃめちゃ胸にキました。国と国が争うとか、大きな爆弾が落ちるとか、戦争が命を奪うことを描くのではなくて、子供が子供として、人が人として生き遂げられない世界が、世界がひっくり返っていく姿こそが戦争なんだということを、「子供の目」を通して描く、胸を襲う映画でしたね。

それにしても、ポスターにあった「君のこと忘れないよ」で、想像はついてたから相当身構えて観てはいましたけど、トットちゃんじゃなく泰明ちゃんのセリフだったのが、もうまめちちの涙腺にダイレクトアタックでまったく耐えられずダメでした。自由が丘の駅で泰明ちゃんが放った言葉が電車の音でかき消されてトットちゃんに届かなかった、あのシーンと重なって、ひっさしぶりに映画館で「ウグゥッ」と嗚咽を漏らしてしまいましたぁ…。

終始映画は子供の目線で見た戦時の世界ではあったのだけど、その中で大人たちがどうやってトットちゃんをはじめとするマイノリティな子供たちを支えてくれていたのかを、感謝と尊敬を込めて丁寧に描かれていて、とても心打たれましたです。おわる。

もう少しダラダラ書いた感想や、後で追記したことなど気になるような人が万一いらしたら個人ブログへどーぞ。
http://driedtext.typhoonikka.com/?p=13339
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