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窓ぎわのトットちゃんのumiのレビュー・感想・評価

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
3.2
あざとい反戦描写、(校長のいらだちから反戦につなげる描写や、ラスト近くの出征パレードをトットちゃんが横切るシーン)、鼻じらむ足の不自由なヤスアキとの恋の描写(水の中で戯れるシーン)など、目につくところがいろいろあったものの、ヤスアキの最後の別れの言葉の言い方、ハンディキャップを持つ親の描写や声優の演技のディテールが豊かですっかり感心してしまった。

大きなかなしみを抑えきれずに、葬儀から抜け出すトットちゃんは、まっすぐに走り抜き、出征のパレードを横切る結果、多動でありとっ散らかってしまう欲動を、ひとつの運動に集約することができてしまっている。

ヤスアキに閉じ込められるのは嫌だといっていたテレビジョン=魔法の箱にトットちゃんがいずれテレビ女優第一号として入ることを予感するようなシーンだった。

戦争の取り扱いについては、やっぱりこの世界の片隅が優れているとおもう。

黒柳徹子の人としての力がすごいなと改めて感じるし、自分は歴史的な人物なんだぞという物語を強力に語るところが、この人の凄さだと思う。
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