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窓ぎわのトットちゃんのMHRのネタバレレビュー・内容・結末

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

子供の描写がすごい、アニメーションがすごい、と聞いて見に行って本当に良かったです。作中の親子と同じくらいの年かさのお母さんと娘さんが観に来ていて、良かった 私が小学生のときにあれば良かったのになって思います。

私は想像とか夢とか、現実から一呼吸おいた場所についての表現がめちゃくちゃ好きなんだなあと思いました。大石先生大好き! 全国で展開してるの本当にすごいなあと思います。多分この雰囲気はすずめの戸締まりと同じなんだけど、こっちの方が好きかも。好きっていうか近い。
年表だったり出てくる作品だったりを少しでも知った後に観て良かったことももちろんあるし、また立場が変わったら違う理解になると思う。真面目だし、とっても楽しくもある。恐い、悲しい、怒り、気持ち悪い、みたいな表現はいっそ実写的で、真摯で良かった。始まりからすごい。誰かの怒りとか、悔しさとか、そういうことが力強くて、最後の小林先生の台詞があの表現だったことが全てだと思う。誰か思う存分に話を聞いてくれる人がいることがどれだけ良いことか!!!! 子供にも伝わっていること、子供に伝えたくないこと、きみに伝えられないこと、全部が全部わかった。悔しい。大石先生のシーンすごく良かったよね。おかしくて可愛いシーンと鋭利なシーンがひたすら同じ場所にある。同じ世界であることで、同じ日常にあること。音楽もすごく良かった(オーケストラのシーン、ちょっと覇王別姫思い出した) パパのバイオリンとママのほつれた髪、赤ちゃん。

小学一年生の私に与えられるべきは決して長くつしたのピッピではなかった。そうじゃなくても良かったんだよ、て思う。個人史にところどころ触れて、見終わった後に「だから私は勉強しなきゃいけない」みたいなポジティブな使命感が響きました。大それてるけど、実際に私が学んだ・学ぶ意義はあるよ。そういうことあったなあって思っているうちに「こうだったらよかったのにな」「ひょっとしたらこうだったのかもしれない」が浮かび上がって泣いてた。特に何があったわけじゃないんだけどね。悔しさとか怒りがあって、私はもし、誰か小さい子とみて、かれが何か同じものを抱いたら本当に嬉しい。

悲惨なことを知るのも大事なんだろうけど、私はまだ大丈夫だってあなたは大丈夫だって、あなたは誰かを大丈夫にできるって私は子供に言いたいよ。うんと小さいときにみて、もう少し大きくなってから見たかった。名作だ傑作だって言われてるのすごくわかったよ。ジャンルとして児童文学だった。すごく色んなことが起きているんだけどひとつの話をしている。これに関してはある事実の話をしている。私はそういう作品が好き。
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