しましま

怪獣総進撃のしましまのレビュー・感想・評価

怪獣総進撃(1968年製作の映画)
4.4
ゴジラマラソン9作目。

怪獣ブームに翳りが見え始めた時代背景により、ゴジラシリーズは本作で打ち切りになる予定であったが、思いの外ハネた結果、その後も継続する事になったという事は海を越えて現在まで続くゴジラシリーズにとって今作がターニングポイントになったのか。
ゴジラを生み出した本多猪四郎監督でゴジラを終わらせようとしていたのは粋と言うべきか、因果と言うべきか。結局監督の熱意や意地が勝った結果として昭和ゴジラシリーズ屈指の傑作が生まれたわけだ。

オープンニングロールやテーマ曲、所々に導入される親切すぎるナレーションや説明は初期のウルトラマンシリーズを彷彿とさせる。SY3もウルトラホーク1号のようなシャープなデザインでカッコいい。
小笠原諸島に怪獣たちを閉じ込め…じゃない管理するというアイデアは後のジュラシックパークに相当な影響を与えている(気がする)。

東宝特撮映画の怪獣たちがクロスオーバーで多数出ており、さらに各都市で暴れる怪獣の設定はモンスターバースのKOMが今作をオマージュしたのであろう事が伺える。

X星人以来登場の異星人となるキラーク星人や操られる怪獣たちという設定は特段目新しくないが、医療ドラマでもないのに無駄にリアルな手術シーンとか、宇宙人と地球人の武力交渉(ある種ガンダムに通ずるものがある)など、非常に挑戦的な作品であることは間違いない。

賛否はあるとは思うし、福田監督のなるべく日本本土を破壊しないファミリー向け映画ももちろん嫌いではないが、本多監督のコア層を歓喜させる(ファミリー層など知ったことか感が漂う)深めのテーマや都市ミニチュア大破壊映画の方が清々しくて私は好みだ。

ただ一つ残念なのは地球の怪獣チーム対キングギドラの図式をクライマックスに持ってくるのはいいが、ギドラの登場が遅すぎるんだよ😰