トランティニャン

怪獣総進撃のトランティニャンのレビュー・感想・評価

怪獣総進撃(1968年製作の映画)
3.5
キングギドラといえば、常にゴジラの前に立ちはだかってきた金色の宇宙怪獣。三首から吐かれる稲妻のごとき引力光線は都市を瞬時にして破壊し、強力な飛行能力も相まって1頭で怪獣何頭分もの仕事をする手ごわい相手だ。
初登場した『三大怪獣 地球最大の決戦』や『怪獣大戦争』までは、その通りの活躍をみせた悪役なんだけど、その華麗なるレッテルが剥がれてしまったのが本作ということになる。

子供の頃にビデオを見た時はとにかく怪獣がいっぱい出てきて盛り上がった記憶があるんだけど、この写真の通り、今となっては「いじめ、かっこ悪い」という名言を持ち出すまでもなく、壮絶なキングギドラへのいじめ描写がファンの間で物議を醸している作品でもある。

ちなみにゴジラたちは怪獣ランドなる島で隔離されていて、島の外には出られないが快適な生活を送っているという、もう何だか救いようの無い設定。
当然そんなもんうまくいくわけなく、怪獣たちが次々と脱出。世界中で怪獣たちが大暴れするんだけど、その扱いもやっつけ。ゴロザウルスが地中から顔出してパリの凱旋門を破壊してるのに、次のシーンでニュースキャスターは「バラゴン」って呼んじゃってるし、ラドンがイルカを捕まえるシーンの適当さと言ったら無いし、「怪獣もなかなかかわいいでしょ」なんていうセリフも飛び出すほどの能天気っぷり。まぁ『ジュラシック・パーク』を先取りした発想といえばそうなんですが。