Jun潤

BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-のJun潤のレビュー・感想・評価

BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-(2024年製作の映画)
4.0
2023.01.06

『コードギアス』シリーズ、『ONE PIECE FILM RED』の谷口悟朗監督作品。

人類が文化や価値観の発展のために多様な進化を遂げた時代。
通常の人だけでなく龍人族やヴァンパイア族も誕生していた。
異なる人種同士の争いを避けるため、人類は“クラスタ”と呼ばれる区域に固まって生活を営み、荒野と化したクラスタ間の移動は禁じられていた。
しかし、クラスタの生活に馴染むことができない、外の生活が見たいという人を相手に商売をする“逃し屋”も生まれていた。
ある時、荒野で「不滅騎士団」のメンバーが略奪行為をしている中、キサラギという半身サイボーグの男が助けに入る。
キサラギの目的地は新宿クラスタ。
新宿クラスタには、クルスとルナルゥ兄妹が、ヤクザや水商売に囲まれ暮らしていた。
そんなルナルゥの元に辿り着いたキサラギ、彼はクルス達のかつての幼馴染だった。
キサラギのサイボーグ部分の修理が完了するまで共に過ごすルナルゥ達だったが、不滅騎士団の長である転法輪や、キサラギに恨みのあるヤクザ達によって、その生活は脅かされる。

やはり2024年も国産アニメ映画は強い。
途中までは設定が盛り盛りだったりキャラも多かったり相関が掴みにくかったりと、劇場版一本でまとめられる容量じゃないんじゃないかと不安に思いましたが、中盤でちゃんと整って終盤に向けて収束していく感じがとても良かったです。

逃し屋の活躍や都内にある新宿以外のクラスタ、東京以外の様子や、世界中のクラスタなど、作品内に散りばめられた新たなストーリーの可能性は、テレビアニメや配信作品、ゲームなどで描いて欲しい気もしますが、中途半端に描いて不完全燃焼になるぐらいなら、今作ぐらいのボリュームで済ましておくのもまた一興かなと思います。

キサラギの血以外で不滅騎士団との戦闘における戦略面の説明や広がりがなく、キサラギの戦闘スタイルも割とシンプルだったことも、やはり最初はどうなんだろうと思いましたが、逆にシンプルで良かったですし、登場人物たちに一貫性がなくてゲームシステムにも落とし込めないからこそ、今作の独自性が保たれたのかなとも思いました。

フルCGアニメーションということで、今作についてはゲームの雰囲気に近く、登場人物たちもロボットみたいな動きになっていました。
海外産であればそこに表情の作画などが乗っかってリアリティや実写には出せない魅力にも繋がっていくものだと思いますが、やはり国産ものだと声優の方々の演技がとても良かったですね。
個人的に谷口監督作品に福山潤、櫻井孝宏が出演していると『コードギアス』成分を補給できて満足です。
山寺宏一が演じる敵役の強キャラ感は異常。
Jun潤

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