Jun潤

劇場版ブルーロック –EPISODE 凪のJun潤のレビュー・感想・評価

3.8
2024.01.19

原作好き好き案件。
原作といってもスピンオフ元の方ですがね、今作の原作は未読です。
2023年にテレビアニメが放送され、社会現象とまではいかなくても話題を呼んだ史上最もイカれたサッカー漫画『ブルーロック』。
原作の方では潔世一が主人公ですが、今作は人気キャラの一人でもある凪誠士郎の視点から描かれるもう一つの『ブルーロック』。
僕の推しである凪誠士郎が劇場版の主役だと…!?とテレビアニメ放送直後の情報解禁から楽しみにしていましたし、激アツ展開満載であろうテレビアニメ第2期も控えているので、期待値MAXて鑑賞です。

何事にも面倒くさがりな高校生、凪誠士郎。
そんな彼の退屈な日々は、ある男との出会いによって変わり始める。
御影玲王は、御影コーポレーションの御曹司で、運動も勉強もできたために、欲しいものも、叶えたい夢もなかった。
そんな彼が欲しがったものはただ一つ、W杯の優勝トロフィー。
凪の行動にサッカーの才能を見出した玲王は、彼をサッカー部に誘い、父が差し向けた強豪校との練習試合にも玲王の身体能力と凪の圧倒的な才能で勝利を収める。
そんな彼らの元に届く、ブルーロックへの招待状。
日本から世界一のストライカーを誕生させるため、絵心甚八によって集められた300人の高校生。
生き残りをかけ、それぞれのエゴをぶつけ合わせていく中で、凪の中で何かが変わり始める。
その何かの正体を掴むための最後のピース、潔世一。
潔が中心となっているチームZとの試合で、凪は初めてサッカーの楽しさを知る。

これはやられましたわ、逆の意味で。
スピンオフの方の原作も少しだけ読んだことはあって、序盤はその映像化といった感じで新規映像の連続に胸が躍りましたし、原作やアニメでは描かれていないチームVの鬼ごっこや他チームとの試合と、斬鉄との交流や凪のサッカーに対する気持ちの変化も挟みつつ、テンポ良く描かれていました。
チームZとの試合以降は新規映像よりもテレビアニメの場面を流用しているような印象が強く、『–EPISODE 凪–』という看板を掲げただけの劇場総集編の側面が強めに出ていましたね。
終盤、というかラスト10分ぐらいは完全にダイジェストでテレビアニメ二期に向けた名場面集のような感じでしたし。
エンドクレジットでキャスト未発表のキャラの初出しとかあるのかと思いきや無し。
しかし最後のセリフを覚えておくとテレビアニメ二期で発狂レベルの爆発があるはずなので、今作を鑑賞しても二期の視聴を迷っているという方はぜひ。

作画については、原作の絵が上手すぎるのもあってそれをテレビアニメに落とし込むのが土台難しい話でしたが、劇場版になってもテレビアニメで感じた粗いCGは相変わらずのまま。
それに序盤の凪と玲王の場面にリソースを割きすぎたのか、ところどころおや?となる場面もありました。
しかし各キャラの存在感を最大限に発揮する、サッカーアニメにあるまじき不気味な作画と音響は劇場版パワーでマシマシになっていました。

凪視点の話としては満点、『ブルーロック』アニメ一期の総集編としては及第点、しかし凪と玲王の話として観ると、一番カットしちゃいけない試合がダイジェストになっていたのがなぁ……。
原作の先の展開を知ってみる身からすると、カタルシスを最大限に発揮するためのフラストレーションだと分かるんですけどね。
序盤のあんなキラキラしたやりとりからの落差を考えると、玲王視点、今作単体の終わり方としてはちょっと苦々しさが残ったかなという感じです。
今作で『ブルーロック』に興味を持ったという人には、『-EPISODE 凪-』よりも本編をおすすめするかな……。
Jun潤

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