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バカ塗りの娘のToのネタバレレビュー・内容・結末

バカ塗りの娘(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

県内でも話題になっていた作品。先行上映、ぜひ映画館で観たいと鑑賞。

津軽塗りの工程の音が響く。桜が満開の公園。竹村旅館では京都からのお客が旅館で取り扱ってる津軽塗りの作品を見て褒めていた。場面は変わり美也子の父、清史郎の工房では清史郎が作業をしていた。美也子が津軽塗り作品の配達やホテルから連絡がきていた事などを伝えて竹村旅館へと自転車で向かう。控えめな美也子は旅館に着くと、自分はパートがあるのに「上がっていけば良い」と話す旅館主人と京都のお客さんに上手く言葉を伝えれなかった。パートで失敗した帰り道、途中にある花屋の店員鈴木に陰ながら想いを寄せながらいつものように家に帰る美也子だった。
県内でも有名な伝統芸能である津軽塗り、この作品で初めて作る過程に触れました。本当に手間を掛けて丁寧に職人の方が作ってくれる作品、本当に凄いと感心しながらスクリーンを観てましたね。職人さんというのはどんな物を作っていても本当に凄い。今回、津軽塗りの作業シーンが多く、作業をするにあたっての職人技の音が本当に良い!静かな2人の間には津軽塗りに対する丁寧で繊細な作業音のみ…なんかずっと聴いていたかったですね。沢山の種類の津軽塗りがある事を初めて知って勉強にもなりました。
美也子の控え目で繊細な所は観てて応援したくなるし、もどかしくもなりました。小さい頃から自分は駄目かもと思いながらも兄のユウに助けてもらってユウも美也子を大事に思ってて良い兄妹関係なんだな…と思いました。清史郎とユウが拗れて切れてしまわなかったのは美也子の存在もあったのかな、と。言葉少なくただ一心にピアノに津軽塗りを施す美也子、良かったな…。
清史郎は不器用というか父であり師である誠治と誠治の津軽塗りを本当に愛してるんだと感じました。津軽塗りも愛してるし父と繋げてきた伝統を残していきたい、その思いが強くてユウのやりたい道にもすぐに納得が出来なかった、そんな気がします。
ユウと鈴木が出来るなら弘前にいたかったという話、自分達らしくいられる場所はここじゃないという鈴木の言葉…切なかったです。美也子の事でもユウの事でも鈴木の事でも、もちろん清史郎の事でも自分らしくいれるって本当に難しい、でもその為に自ら行動を起こしたり話したりする姿勢は考えさせられました。自分はそういう事をしてるのか、と。
桜が咲く春から始まり、ねぷた祭りの夏がきてお囃子が聞こえて、豪雪に見舞われ除雪機で雪を片す冬がきて、別れと完成と皆が1歩踏み出した春が再びくる。1年前とは皆それぞれ何かが違う良い春になっているのが観終えて、良かったな…という気持ちになりました。

知ってる場所もあって物語とは別に高揚しましたね。県内でも頑張っている地元アイドルの子達もいましたし!TVを観ないんで堀田真由ちゃん知らなかったんですが、素晴らしい役者さんだな、っと思いました。青森出身木野花さん、流石ネイティブ!地元出身でない方々の津軽弁も良かったです。
津軽塗り作業音のBGMないかなって思ってます。
映画館で観れて良かった作品です。上映期間中もう何回か映画館に観に行きたいです。
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