おざわさん

ハンガー:飽くなき食への道のおざわさんのレビュー・感想・評価

3.8
レイフ・ファインズの『ザ・メニュー』を彷彿とさせるシェフの厳しさと、『セッション』のマイルズ・テラーばりの弟子の狂気を描きながら、内容としては特別な存在であるシェフと、大衆料理屋の料理人の違いや人間関係を深く抉ったドラマ。

その背景にあるのはタイの軍閥や新旧含めた財閥の富豪などと、一般庶民との経済格差。

庶民は空腹を満たす為に食べ、富豪たちはただ欲求を満たしたくて食べるけれど決して満たされることはない。
普通の料理人はお客さんの食欲を満たそうとしているのに対して、ポールシェフはかえって飢えさせ、渇望されてこそ特別な料理人なのだという。

そして特別なシェフは食べ物を提供しているのではなく、そこでの特別な体験を期待されているのだとのシェフの言葉にも確かに、と納得してしまいます。

予約さえ取れない一流レストランHUNGERのスーシェフのトンに認められて引き抜かれ、ハンガーで務めることになったオエイはその腕が認められてスーシェフになり、そこでの理不尽な扱いに耐えかねて独立。
やがてシェフのポールと直接対決することになります。

こちらでは上映時間2時間10分になっていますが、Netflix上ではさらに長い2時間25分ながら、迫力と展開に惹き込まれてそんな長さは感じなかったなあ。