自家製の餅

地球は優しいウソでまわってるの自家製の餅のレビュー・感想・評価

3.6
お世辞か、嘘か。言いにくいことをどう伝えてあげるのか家族か。

主人公は作家の中年女性。過去にヒットも出したが、いまは新作に悩んでいる。夫はセラピストで、彼も記憶力の低下と患者からの低調な反応に頭を抱えている。
期待した一人息子は大麻ショップの店長で、いつまでも仕上がらない脚本を執筆中。
夫妻の友人カップル(正しくは、女が姉妹)も、舞台俳優とかをやっている。
女二人は教会でホームレスへのボランティアをやっており、そのことを老母に嫌味を言われている。

こうした人間関係の中、夫が妻に言っていた「新作いい感じで好きだよ」といった発言が、実は嘘であったことがバレる(正直、僕にはわからないと)。とはいえ良くないとも言う訳にもいかない。妻は大変傷つくが、翻って彼女の息子への過剰な期待はどうか。
それも実態とは無縁の、理想像への応援であって、子はプレッシャーを抱えていた。

身近な人間関係って、そういうことあるよねぇといった小さなズレと軋轢、そして解決といった群像を演劇的に見せる映画だった。

「これまで貰っていたプレゼント、全然好きじゃないんだけど」とお互い言いつつも笑い合ってそのまま受け入れる平和さ。
実家のポテサラを持って帰ろうとしたとき、タッパを貸してくれなくてアルミホイルに入れるよう言われて怒ったり、そんな母から奪取したかわいい服を「やっぱり」と取り戻したり、人間のおかしさが詰まってほのぼのする。