サマータイムブルース

さらば、わが愛/覇王別姫 4Kのサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

5.0
300レビュー目です

これは控えめに言って傑作でしょう、私の“好き”がたくさん詰まってました、震えました

原作は李碧華さんの小説です
原作本は未読です
だいぶ前に一度ビデオで観ているので、今回が鑑賞2回目です
公開30周年、主演のレスリー・チャン没後20年の特別企画として装いも新たに4Kにて上映していたので、観に行って来ました

京劇とは・・・
中国の代表的な舞台芸術です
1790年に北京で誕生したとされています
日本でいうと歌舞伎が近いのかもしれません

覇王別姫とは・・・
“覇王”と“姫”の別れを描いた京劇の有名な演目です
紀元前秦の始皇帝の死後、西楚の覇王・項羽と漢の 劉邦 が天下を争っていました
覇王・項羽は劉邦との戦いの中で、愛人・虞姫らと共に垓下に追い込まれ孤立してしまいます
深夜、周囲から楚国の歌を聞いた覇王は、自軍が既に漢軍に落ちたと誤解してしまいます
覇王は虞姫に逃げるよう伝えますが、虞姫はそれを拒否して覇王のために舞を舞いながら王の刀で自害してしまう、という悲劇です

少年時代から京劇の俳優養成所で厳しいシゴキに耐えながら稽古に励んで来た小豆/蝶衣(レスリー・チャンさん)と石頭/小楼(チャン・ホンイーさん)の2人は互いに助け合い、友情を育んで来ました
やがて成長した2人はそれぞれ演目“覇王別姫”の虞姫、覇王役の花形スターへと成長します
そして、石頭/小楼は妓楼の人気娼婦である菊仙(コン・リーさん)と突然結婚してしまいます
石頭/小楼に、友情以上の愛情を秘めていた小豆/蝶衣は、嫉妬し、関係がギクシャクしてしまいます
その後、小豆/蝶衣はアヘンに溺れて行きます
時代は北京政変、満州事変、日中戦争、終戦、中華人民共和国成立、文化大革命、と変遷し、2人は時代の荒波に飲み込まれて行きます

演技は、演出だと思うけど、すごく演劇的だなと思いました
レスリー・チャンさんの女方“虞姫”がうっとりするほど美しい
この役はもう彼にしか出来ないと思われます、見惚れてしまいました
逆にチャン・ホンイーさんの石頭/小楼は髪型のせいもあると思うんだけど、見るたびにモト冬樹さんを連想して笑いそうになります

幼少時代、小豆/蝶衣が妓楼の娼婦の母親に連れられて、無理やり京劇の俳優養成所に連れて行かれ、入門してから少年時代のくだりがすごい好き
淫売の子として周りからいじめられている小豆/蝶衣をかばって来たのが石頭/小楼です
街の喧騒や京劇の大きな音、拷問のような厳しい稽古、師匠の容赦ない鞭打ち、脱走、2人の友情、仲間の自殺
脱走した先でたまたま立ち寄った芝居小屋で観た京劇の素晴らしさに感動して小豆/蝶衣が涙するシーンはこちらも思わずうるっとなりました
「この人達は、こんな名優になるまでに、何度ぶたれたことだろう」

小豆/蝶衣を演じた子役2人がすごく可愛いかったなぁ
途中で張宦官と言うスポンサーに気に入られた小豆/蝶衣は一人、彼の部屋に呼ばれます
そこで小豆/蝶衣がおしっこがしたい、と言うと彼は尿瓶がわりの透明な壺を持って来ます
仕方なくそこで用を足しているとジッとその姿を見つめて来ます
うわー、きも爺い!!やめれ!!
そしてその後ついにレ◯プされてしまうのでした
茫然自失となる小豆/蝶衣・・・

大河ドラマ、愛憎劇です
京劇の絢爛豪華な美しさを見るだけでも価値があると思います
映画館で観ることが出来て良かったです