かさま

さらば、わが愛/覇王別姫 4Kのかさまのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

初見。京劇の俳優である程蝶衣と段小楼、小楼の妻菊仙を中心に20世紀中国の歴史を描く。
清が終わり日中戦争などがあり中国国民党中国共産党が移り変わり文革のあと80年代くらいまで?を描いているので近現代中国史をある程度頭に入れておいたほうが理解しやすいと思った。
こういった支配者の移り変わりは、蝶衣の興行を鑑賞する客席の様子に表れる。当初は蝶衣を賛美する垂れ幕、日本の侵略期には大東亜共存共栄という欺瞞のスローガンが掲げられている。日本が敗戦し国民党が戻ると、今度は国民党の兵士のためと思われる文言が赤い幕に掲げられていた。
だんだんと京劇が時の支配者の意志のもとで行われていることが露骨になっている。
京劇の役者たちも政治上の立場を示さざるを得なくなっている。文革でははっきりと弾圧の対象である。
世情が変わっていくなか、小楼も小四も京劇への対し方が変わっていき、菊仙も含めた関係は破壊されていく。舞台に立つ蝶衣だけは変わらず京劇と小楼への愛を持って歌う。
人も芸術も政治状況とは切り離せず蝶衣もまた翻弄されてはいるのだが、最後まで京劇への愛と小楼への愛を持ち続け虞姫であった蝶衣は、理想の人なのかもしれない。
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