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さらば、わが愛/覇王別姫 4Kのoimoのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

辛い…。
ちょっと辛過ぎました。

子供が大人に虐待されるシーンが延々と続き、性自認まで矯正されて権力者の変態ジジイに献上されるという…。
何?
地獄過ぎんか…?
私の生涯トラウマ作品で観たことをいまだに後悔している『異端の鳥』を観た時と同じ気持ちになった。しかも地獄期が長い。最後までずっと地獄。

全ての大人から、母親からすらも愛されなかった小豆に初めて優しくしてくれた少しお兄さんの石頭を、卵から孵った雛よろしく離れられずに生涯かけて追いかけ回す小豆が可哀想で辛くて惨くて仕方なかった。

地方民なので映画鑑賞は土日だろうとどんな大作だろうとガラッガラってことが普通なんだけど、本作は見事満席。両隣に人が居る状況で映画を観ることが普段ほぼ無いからか隣の人のリアクションに一々ビクッ!とさせられた(笑)右隣のマダムは多分私と同じく初見勢で、左隣の方はガチファンの方だったようで、右からは「うわっ!」とか「え〜…」とか聞こえてきて、左からは終始シクシク聞こえてた。

文化大革命って何?レベルで歴史的な基礎知識が無いままの初鑑賞だったので一回の鑑賞では捉えきれない部分が多かったのが悔やまれる。京劇の何が駄目なん?え?なんでおま、お前後輩だろぉ!!は?そこまでする…?え?は…?な?なんで???という感じで感情が付いて来ないまま時代がどんどん進んで行って、最後はメイク崩れまくった蝶衣さんと同じ顔になってました…疲れた。
菊仙さんが素敵な女性だったので、あのエンドは本当に無になった。最後の最後で全てをかなぐり捨てて保身に走る小楼兄さん、悲しかったけどあの場面では誰でもああなるか…。
絶対的な権力の象徴として小豆の心を打ち砕いた変態じじいがすっかり衰退して最後には小さく萎んでたのも印象深い。人間の造る歴史程儚いものは無いな。

終始地獄だったから舞台シーンの美しさが物凄く際立っていて、本当にその間だけ、演じてる間だけは、覇王と虞姫で居る間だけは天国で、幸福で、本当にそれだけを心の拠り所にしてたんだろうな…という哀しさが後からじわじわ効いて来る。

ストーリーだけで言えば悲惨過ぎてちょっと私は苦手だったけど、奥深く心に残る作品でした。
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