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さらば、わが愛/覇王別姫 4Kのkazuoのレビュー・感想・評価

4.8
2人の京劇俳優の、1920年から始まる波乱に満ちた50年間を描いた作品。
なんか全くノーマークもフォロワー様の評価がとても高いので急遽鑑賞、これは観てよかった!素晴らしい作品でした!
激動の時代を生きる2人の京劇俳優の愛憎はその時代背景と過酷な運命により壮大な物語となり、レスリー・チャンの繊細な演技と美しさは作品を煌めかせる。また主演2人の子供時代を演じた子役も素晴らしく、特にレスリー・チャン演じる蝶衣の子供時代小豆子を演じた子役!その容姿は美しく、レスリー・チャンに成長するのも大納得😆
そしてテンポも良く長尺ながら片時も飽きさせず、時の流れは色々変えたけど変わらない一途な想いを描いたあのラスト…
うん、観て良かった😊

以下ネタバレ含む、感じて考えた事を殴り書きで🎵


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冒頭の俳優養成所からして児童虐待の世界でその厳しい稽古風景はは腹立たしく感じさせる。面白いのはその方向性を蝶衣が否定し改善するのではなく踏襲しているところ。そしてどんなに有名になっても師匠に頭が上がらない。でもそれは若い世代からしたら古臭いもの。それを指摘し反発したのはかつて蝶衣が拾った捨て子の小四。そしてその小四は文化大革命の潮流に乗り京劇の古典を否定し現代劇の波に乗り蝶衣を追い詰める。オイディプス的な構造の過酷な運命。

小樓の行為は本人が思っている以上に相手に運命を感じさせ、故に一途にさせる。運命の出会い。それは蝶衣だけではなく菊仙もそう。だからどんなに苦しい状況になっても彼を愛し続けた。

恐怖は人を醜くも残酷にもする…

戦争や革命など時代は京劇に大きな影響を与え、翻弄する。そして文化大革命による価値観のドラスティックな変容により古典は価値を失い、娯楽や芸術は共産党的価値観とリアルの押し付けにより面白さを失って行く。

時は過ぎ11年振りの再会を果たし覇王別姫を演じるラスト。虞姫の如し小樓への愛に殉じたと思われる蝶衣、いや小豆子。石頭(小樓)の微笑みは何を思っていたのだろう…
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