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さらば、わが愛/覇王別姫 4KのNTKのレビュー・感想・評価

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いや泣いた…好きなシーンごとに泣いた…見終わってすっかり頭痛くなってしまったしタイトルバックが出る前から泣いてた

映画館での鑑賞が叶って本当に嬉しさでいっぱい、映画館で見れて良かったな〜、とにかくこの作品の赤色が美しい…京劇衣装の赤が、化粧の赤が、婚礼衣装の赤が、血の赤が…それ以外にも黄色や青色なんかも美しいけれどやっぱりポスターでも一色なように赤がひたすらに美しかった

覇王別姫を初めて見た時は小豆子/小石頭と蝶衣/小楼の2人の義兄弟や愛としての結びつきに持っていかれがちだったけど、今回はもうずっと菊仙と蝶衣の2人のやり取りにずっっと引き込まれてた…、初対面からバッチバチで周りのあわあわした雰囲気も目に入らない…ってレベルで直球な言葉をぶつけ、1人の男を取り合う2人…ってのを何年も続けるわけだが、舞台での結びつきなら役者2人だけの世界だけどそこに女/小楼の「妻」として入っていける菊仙のしたたかさと凛とした強さが全く嫌いになれないし大好きなの…、歳をとった師匠にスターになった後に会いに行き、2人揃ってお叱りを受けるシーンで「師弟?兄弟?そんなのは関係ない、私は段小楼の妻だから」と入っていけるあの強さが好きだった

日本軍から釈放された小楼を同じく心配する蝶衣に吐きかけられた唾を思わず拭って上着をかけてあげる菊仙も、小楼の覇王の相手の虞姫の役を盗られた時に上着をかけてあげるのも、アヘンの禁断症状に苦しみ母の幻を見る蝶衣に上着をかけて抱きしめるのも菊仙……、蝶衣と菊仙の間には深い溝があるけれど、本当に時々綻びのように本心と真心から出てしまう行動たちの諸々よ…2人の目線の交わりとしてあげた事と交わした言葉、そして言わないで飲み込んだ言葉の一つ一つがどこまでも人間くさくて愛おしくて哀しかった
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