悪魔の毒々クチビル

レプリコーン6の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

レプリコーン6(2003年製作の映画)
3.3
「金貨を返せ!!」

レプリコーンの金貨を発見した若者グループに襲い掛かるいつものレプリコーンのお話。


とうとうこのシリーズもウォリック版はこれで最後ということで、何か寂しくなりますね。
実は「ソウ」シリーズでお馴染みのダーレン・リン・バウズマンが過去に、「もう一度ウォリックのレプリコーン映画を作りたい」と言っていたようですが実現可能なのかはちょっとよく分からないです。

さて今作に関して注目すべきはまず原題。
前作が"Leprechaun In the Hood"なのに対し今回は"Leprechaun: Back 2 tha Hood"と何と最後の最後にタイトルが繋がっている直接的続編という、シリーズ初の試みが!まぁ6作目なのにタイトルに2があるのは紛らわしい気もしますが。
「確かに前回はシリーズの中でも異色の終わり方だったしなぁ」と妙に納得しちゃって、じゃあどうなるのよ、とそこも楽しみに観てみました。



全然繋がってねぇ!!!!

何故こんなタイトルにしたのかさっぱり分からないレベルで話が別物で、強いて言うなら舞台がフッドなのと登場人物の殆どが黒人なくらい。
そしてキャラがほぼ黒人なのもあって、語尾の「マザファカ」率も無駄に高い。
当然前作のキーアイテムだった笛なんぞ出てきませんし、寧ろ新たにレプリコーンの出自が語られてまた設定が追加されました。この設定自体は良いと思うんだ。

クオリティもぶっちゃけ前作とどっこいどっこいで、ゴア描写はあるはあるものの抉り出された心臓の適当さとか色々やっつけ感が目立ちました。
あと今回の金貨は壺じゃなくて宝箱に入っているんだけど、一度出し切って箱を閉じると何故かまた金貨が満杯に満たされるという無限増殖バグみたいな仕様になっています。

レプリコーンも大麻吸ってハイになっておぼつかない足取りで主要キャラの一人とすれ違いコントやっていたりと、コミカルな部分はいつも通り楽しいっちゃ楽しい。
主人公達をパトカーで追いかけようとするもアクセルに足が届かず、もぎ取った警官の脚を使って運転する発想とかも良かったです。
ただ大いに不満だったのは、襲い掛かる時に魔法を全然使わなかったこと。
今作では終盤のあるシーンを除いて、今まで散々使用してきた魔術を使わず素手で攻撃してきます。
一応傷が再生したり神出鬼没な一面は相変わらずですが、それ以外はせっせと取っ組み合いしているので毎回主人公達をあと一歩の所で取り逃がしていました。
素手で脚をもぎ取る怪力かと思えば、ヒロインに殴り飛ばされちゃうし。
ギャングとかにも最初は凄いバカにされていて何か可哀想でした。結局皆殺しにはするんだけど。

前作同様、人間側もそんなに魅力的ではなかったけどヒロインの元カレは「ザ・ボーイズ」のMMでお馴染みのラズ・アロンソでした。
あとあの占い師のおばさんのアレ、唐突過ぎてちょっとびっくり。
レプリコーンのやられ方も最後なのにそれで良かったのだろうか。

駄作とは思わないけど「これが最後かぁ…」とは思わずにはいられない出来でした。
ただウォリック・デイヴィスによるレプリコーンというキャラクターはどの作品でも唯一無二の個性が輝いていたし、シリーズ毎に様々な一面を見せてくれてすっかり好きなキャラになったのでこのシリーズが観られて本当に良かったとは思っています。


で、最後に余談を。
「レプリコーン」シリーズとしてはこの6作のみですが、実はウォリックは"A Very Unlucky Leprechaun"と言う作品でもレプリコーン役を演じています。98年の作品との事で、4と5の間くらいに作られた映画ですね。
こちらは本シリーズと真逆のファミリー映画で、レプリコーンが人間の女の子と友達になる的な内容でレプリコーンのメイクもホラーっぽさゼロの親近感満載なものになっています。
ただし当然ながら日本版はありませんし、海外版もDVDが廃盤になっているので現状視聴はほぼ困難なのが残念。なお製作はロジャー・コーマンの模様。
YouTubeで予告編は視聴出来るので、シリーズを観終わった人はその違いもチェックしてみるのもオススメです。