石原さとみの渾身の演技に尽きる。良くも悪くも。
娘が行方不明になった母親を、その探し続けるために正気を失ったような様子で周りの人たちを時には傷つけ、また心無いネットの誹謗中傷にさらされて傷ついてはさらに自分が追い込まれて行くさまは、もう怪演ともいうくらいのもの。
世間の無理解や非寛容、見えない人たちによる悪意、また善悪の不確かさなど今日的なテーマで実に面白く観た。またワークショップからキャスティングされた俳優たちが、それぞれリアリティーのある演技をしていて物語に深みを出すのに成功している。
そして物語の最後には「空白」でもあった微かな希望を持たせて終わるところも上手い。
ただ、石原さとみの演技がやはり過剰に過ぎて、そこは逆に乗りきれなかったところではある。少々お腹いっぱいでした。
あと、マスコミの描き方は「空白」より随分深みがあり良くなった。
