東朴幕院

ミッシングの東朴幕院のレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
3.8
吉田恵輔監督は『空白』『神は見返りを求める』に続いての鑑賞。
本作も吉田恵輔監督は観客に容赦無く、登場人物の誰に感情移入する?と試されている自分に気が付く。事情が余りにも気の毒な状況である事は理性で理解しているつもりが、石原さとみ演じる母親の振る舞いを見ているとムカムカしてしまう自分がいて、それこそ正しくSNSで炎上書き込みのきっかけとなる感情なのだろうと思った。そして監督の思う壺となっていた。
一方で、その狂った社会は容赦なく被害者家族に酷い仕打ちをしてくる訳で、流石にそれは無いよなと困惑させられてしまう。
それでも夫婦は壊れそうになりながらも夫、妻共々落とし所を探っていく。その様は、冷たくも優しい目線である事が救いであった。
そしてSNSへの書き込みのトリガーとなってしまっている現在のマスメディアの役割についても考えさせられたものだ。

全体的に構成も良く出来ていると思ったが、それぞれのネタがどれも鮮度的には新しくなく切り口に斬新さは感じられなかったかな。

時折、石原さとみの行動や表情がブラックコメディ化しており、そちらに振っても面白かったかも。
そうは言いながら、モチーフとなった事故や事件があったからあの様な被害者への寄り添う姿勢は必要だったよね。
東朴幕院

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