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ミッシングのmasayaのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
3.9
幼い娘が行方不明になって数ヶ月。激しい報道合戦は去り、捜索は進展せず、残された両親にはネットの誹謗中傷がつきまとう。当事者になって気付く世間の凄まじい歪み。打つ手なく、募る孤立感。わずかな光明を求めて必死にのたうち回る狂気じみた姿に、人間の真のかたちが浮かび上がる。

警察や報道はあくまでも他者で、どこまで理解して貰えてるか判らない、周囲もそう、家族だってそう。それが犯罪被害家族という究極のマイノリティになるということ。事件が起きる前の自分とさえ、決定的に違ってしまっていることを何度も突きつける。

見終わって終始しんどい。吉田恵輔監督作品こんな感じだったな・・というのが最初に出た感想というか、美しいカットは美しいのだけど、醜い場面、セリフがとことん醜くてその度に精神を削られる。苦手だけど、凄みはある。

特殊な状況、精神状態におかれた登場人物たちが感情を絞り出すのを観て観客をも感情的にさせる技術がめちゃめちゃ高いんだと思う。それも単純に善悪で括れない、主人公や彼女の弟のような人物をとおして。観てて感情昂った。そして疲れた

石原さとみさん、6歳の娘が家の近所で行方不明になった母親という特殊すぎる役柄なのでどんな大仰に演技しても一応の説得力はあるとはいえ、パブリックイメージを逆手にとって「事件が変えてしまった人間性」をよく表していたと思う、類型的以上の生々しさあった。
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