この世はいつからこんなにも狂ってしまったのか。
そして、石原さとみ、ぶっ壊れる。
幼女失踪事件を軸に、(元々この世にそんなものないのかもしれないけど)正義、現代に生きる我々が失ってしまった他者への関心や思いやり、モラルをこれでもかと突きつけられる2時間。
片寄った報道、SNSでの誹謗中傷、大衆の興味はどれもくだらなく本質的ではないものの、いつか大衆の求めるそのくだらない世界を報道やSNSが助長しているという矛盾。
全シーンに滑稽さが見え隠れしていながら、人間の本質も見え隠れしていて、吉田監督またやってくれましたね、って感じ。
狂ったように見えた石原さとみが、一番人間的にまともだった気がする。あんな状況で、他人の幸せに良かった、と涙できるのだから。
でも、人はこういう風に苦しまないと、社会との繋がりの大切さも忘れてしまうのかもしれないですね。他人より、自分が大事。人の痛みなんて、所詮わからない。
ぶっ壊れる石原さとみ、そんな石原さとみを時に叱りちゃんとすぐ謝り、辛いのに弱さ見せない旦那・青木崇高、ずっとなんだこのくだらない社会は、的な目とアンニュイな中村倫也、この3人がちゃんと人間してた。でも、生き辛い想いをしているのもまたこの3人だった。それがリアルすぎて、空しくなった。