FujiNori

ミッシングのFujiNoriのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.3
これは傑作。ただし心が震える、いや折れる覚悟も必要な作品。不思議と涙は出なかったが、何か心がとてつもなく重くなったのを感じました。

物語は行方不明になった娘を探すため両親がビラ配りする所から始まる。普通なら誘拐・失踪は映画の重要なシーンだが、それを描かず事後からスタートしているのが印象的。

我々は日々のニュースに時に喜び、時に悲しむ。ただ時が経てば忘れていく、、しかし被害者にとっては、事件からが本当のスタートであり、出口の見えない迷路のような日々となります。

今回の両親も、時に耐え難い誹謗中傷を受け、周りからは同情と共に好奇な目に晒され、そしてSNSでは言われない誹謗中傷を受ける。この映画は、この長く苦しい事後の話が中心です。

特にマスコミの取材や演出などは、果たして何が正しいのかという軸すらひたすらに壊していきます。

唯一希望だったのは、記者の砂田(中村倫也)だけかもしれない。 

社内での地位を失っていくにもかかわらず、取材を続ける姿はこの映画の数少ない光となりました。

そして最後の虹。
あくまでも結末は描かれていませんが、現代に覆われた、とてつもない闇の中に、わずかに見える光。

その光を見つけることが、人生の意味なのかもしれません。
FujiNori

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