まず俳優陣の演技が素晴らしい。
石原さとみの演技はまさに迫真だし、脇を固める俳優陣たちもお見事。特に石原さとみは熱演で、他の俳優陣と温度差が凄いのだが、それが素晴らしいリアリティを出していると思う。キャスティングの妙。
テーマも多角的で、ミッシングというタイトルだけあり、社会の様々な欠落してしまってるモノを映し出している。倫理が欠けたマスメディアの報道姿勢。SNSの書き込みは配慮や優しさ、寛容さがまるで欠落している。
実に現実と地続きの問題で、真に迫っている。
そして渦中の主人公と夫。決定的な、決して埋まることのない欠落を抱えながら人はどう生きていくのか？ 本当に僅かな希望と呼べるかわからないモノ。そういうモノが絶望的な状況でも、さりげなくしかし丁寧に積み重ねられていった先のラストの余韻は言葉に出来ない感覚でした。
