この映画の舞台であるホーリークロス男子小学校は宗教闘争の傷痕が色濃く残り、犯罪と薬物がはびこる絶望的とも思える地区にある。こうした環境下にあってもケヴィン校長は、暴力による問題解決という負の循環を改めるために哲学の授業を通じて児童たちに考えさせ、議論をさせていく。更に哲学を通じて児童たちに自分の感情をコントロールする術を与えていく。
NHKのニュースで、ケヴィン校長が来日し、日本の子供たちに哲学の授業をしている様子が紹介されていた。校長の明るいキャラクターがそうさせるのか、子供たちがいきいきと自分の意見を述べていたのが印象的たった。今、世界中が分断の方向に向かっていき、他者への不寛容が容赦ないものになっている。こうした状況下、ケヴィン校長の暴力にあがらう授業に一筋の光明が差す思いだ。