kao

ぼくたちの哲学教室のkaoのレビュー・感想・評価

ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)
4.5
冒頭、空からの映像。重い。画一的に並んだ建物がどこまでも並んでおり何だろコノ殺伐とした地は、、と思ったが、プレスリーの♪で中和される。そして、このスクールで展開されている日々の取組みは明るい。
やっぱり教育って、食事と睡眠と同じくらい大事だとしみじみ思う。
子育てや教育はすぐには効果等現れるわけでもないし、言ってみればその子供らのその後を追えるわけでもないから何を以て効果なのかわからないけれども、小さな頃に受けたことは後々影響するということは確かだと思う。三つ子の魂百までというけれど、私も幼少期に母から刷り込まれたことが未だに強く影響しており、いいかげんイイ歳の大人になったんだから自分なりの姿勢を確立したらいいだけでしょ、と自分に発破をかけるが、中々そのトラウマから解き放たれる自己実現はできていない。
人の数だけ考え方は多様であること。それを4〜5歳から学ぶ。それを本当にわかりやすく学校という場で体現されている校長センセ、凄いと思う。小さな頃からたくさん親以外の信頼できる大人と関わっておくこと、そして自分の頭で考えて言葉にすることのいかに大事であることか、決して他人と同じてなくて良いということ、恐れずに言葉にしてみてごらん、大丈夫だから、、、というあくまでも子供らの主体性を軸にした姿勢。

宗教上の違いから争いに発展してしまった歴史も強くこの地に影響している。恥ずかしながら私は北アイルランドの争いの歴史について知らなかった。しかもあとで調べてみたらつい最近のことではないか。事前に少し背景を頭に入れてから観ればよかったなぁ。
宗教の異なることから何故いつの世も争いが生まれるのか、信じるものが違うと共存はできないものなのか。違ってもそれを否定せず程よい距離で各々のエリアで生活していくことは叶わないことなのだろうか。

【好きだったシーン】

・登校時のハイタッチ

・△を画用紙に書いて何に見える?

・喧嘩をした2人、仕掛けた方が謝りたくて肩を抱いてハグした瞬間

・女性カウンセラーのセンセの、子供に本当に心を開いてもらうための細やかな言葉掛け。どんな些細なことも言葉にする価値がある…名言だな

・ストレスでおかしくなりそうな時の対処法(好きな場所にイマジナリーで行ってみる。瞑想だねこれ。本当に参考になった)

・校長センセのカッコイイスーツ姿(シャツがblackでステキ)


私はもう子育て終わっちゃったんだけど、教職希望の学生さんや親の立場にある人にも、むちゃくちゃたくさんのヒントが詰まっているいい作品だと思う。ぜひ観て欲しい。
kao

kao