みむさん

乾いたローマのみむさんのレビュー・感想・評価

乾いたローマ(2022年製作の映画)
3.5
イタリア映画祭にて。

環境問題(温暖化、水不足)+謎の眠り病(?)蔓延のローマを舞台にした群像劇スタイルの半ディストピア映画という印象。
ゴキブリ大量発生注意。

干ばつで3年間(!)雨が降らず危機に直面した、いろんな種類の利己的な人間が登場する。
それは決して経済格差だけではなく、あらゆる欲や無関心によるところもあり、それぞれのキャラクターに乗せて皮肉的に表現していたように思う。

誤って脱獄してしまった囚人、独自に水を確保しクリーンさ(不正で得たわけではないこと)をアピールする資産家、SNSに夢中な落ちぶれた俳優、公用車廃止で職を失った要人付運転手、子供の異変に気づかず浮気をする妻、インフルエンサー的存在のセレブなど。

皆水不足は否応なしに影響してるが、目先の欲と日々の生活を優先する本能そのままの姿がだんだん絶望的に病んでるように見えてくる。
ドラッグに走ったり、死者と会話したり、悲劇も起こるし。

群像劇スタイルで誰かがどこかで接点がある。

その中で比較的まともに見えるのがマリ出身の(難民?移民?)の少年で、彼が混沌としたローマで俯瞰的な視点を持つような立場に見えるのが興味深い。

この状況では富も立場も関係なくじわじわおかしくなっていく。

SNSを使いこなす俳優役にトンマーゾ・ラーニョ。彼は実際にインスタグラムをまめに更新していて日本滞在中もちょくちょく投稿してたりして、役柄と少し被る部分があってニヤニヤ。
「ノスタルジア」ではすごい役だったけども。こちらでは俳優でありダメ父。

ヴァレリオ・マスタンドレアが演じるUberドライバーふうの男が乗せた韓国人客の名前がポン・ジュノだった。