クリーム

ジュリア(s)のクリームのレビュー・感想・評価

ジュリア(s)(2022年製作の映画)
4.0
主人公ジュリアの人生を「もしあの時」こうだったらを形にして描いています。それでもジュリアの人生は1つ。私には晩年になったジュリアの答え合わせだったのかな?って思えました。そして、色々妄想したけど、やっぱり今の自分が一番幸せな人生だと確信している様に思えた。回りくどい幸せの観せ方が新鮮でした。

1989年、ベルリンの壁崩壊の夜、学生時代のジュリアはエミリー達とニュースを聞き、勢いで今からベルリンに行く事になる。親には嘘の連絡をして飛び出す。ところが、ジュリアはパスポートを忘れて飛び出し、エレベーターで気がついて1人で取りに戻るが、再度出かけようとして寮長に見つかってしまう。
一方、パスポートを持ち出したジュリアは友達とバスに乗り、ベルリンで大騒ぎした上、現地でピアノを弾き、それが新聞に載って、両親に嘘がバレないかとてしまうのだった。



ネタバレ↓



自分の生きて来た人生にややこしい妄想ストーリーが織り込まれます。

1) 落ちたパスポートにすぐ気づいて、スムーズにベルリンに行けたジュリア。 ベルリンに住み着く。子供を1人授かり、母の死後、父と和解。

ここから、落ちたパスポートに気づかず、ベルリンに行けなかったジュリアのパターン。
2) 本屋で偶然ポールに出会い、コンテストに優勝し、ポールと結婚し、交通事故に会わなかったジュリアは、2人の子供に恵まれるが、ポールは親友エミリーと浮気。ジュリアは自殺未遂し、親権を失う。
3) 2)の人生で交通事故にあったジュリアは、ピアニストを諦め高校の教師になる。子供に恵まれず、母の主治医で教え子の父ガブリエルと再婚。子供は出来なかったけど、孫を抱く事が出来た。
4) 3)の人生で高校教師になり、学生時代に憧れたマルクスと再会。マルクスとの人生を歩む。
ラストは、3)の孫娘に連れられコンサートへ行く。指揮をするのは、ジュリアのかつての教え子だった。ホールに入るとかつての教え子達が、スタンディングオーベーションで、ジュリアを迎え、讃えてくれる。そして、最前列の席には夫ガブリエルが待っている。

ジュリアの本当の人生は3)の人生。
ラストは出来すぎだけど、まあ、人生に悔い無し。やっぱり、自分の歩んできた人生が辛い事があったとしても愛おしいし、愛着のある素敵な人生なんだなぁと思わせる。ちょっと沁々する作品。こう言う幸せの観せ方は、ややこしいけど、新しく、面白かったです。
クリーム

クリーム