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こんにちは赤ちゃんのakrutmのレビュー・感想・評価

こんにちは赤ちゃん(1964年製作の映画)
3.3
梓みちよの同名のヒット曲をモチーフに、横浜に寄港した貨物船の船員たちの束の間の休息を、彼らの定宿であるカモメホテルを舞台に描いた、井田探監督のドラマ映画。この映画とは独立に、同じ題名の映画が東宝でも製作されているが、梓みちよの歌が挿入歌として使われたのは東宝版のほうである。

映画では、カモメホテルの娘(和泉雅子)と船員(山内賢)の恋物語と、一等航海士(川地民夫)と彼の息子の面倒を見ている幼馴染の女性(芦川いづみ)との微妙な関係を中心として、その他の船員たちのエピソードが群像劇風に進行していく。可もなく不可もなく、ほのぼのとした感じの中にユーモアを交えた映画であるが、赤ちゃんがテーマとなっているので、当然なのかもしれない。森永乳業が協賛しているようで、森永ドライミルクなどの製品が映し出されるのが印象的。

主演の和泉雅子は当時売出し中で、映画の中でも17歳とは思えないしっかりとした感じで快活な女性を演じている。また、特別出演という形で吉永小百合がテレビ番組のキャスター役で出演している。和泉雅子主演の映画なので吉永小百合を脇役に配しているが、それでも目立っている。彼女もまだ当時は19歳なのである。そして我が芦川いづみの役どころは「25歳で未亡人なんて誰も相手にしてくれない」などという台詞を言わせてしまう、幸薄い女性。でも、めちゃくちゃ清楚で綺麗なので、ちょっと説得力がないところが難点か。あとは、藤村有弘、桂小金治、E・H・エリック、北林谷栄などの演技が、ほどよいコメディ感を映画に与えている。当時タレントとして活躍していたプロレスラーのミスター珍が出演しているのがなかなか貴重。
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