めり

奇妙なことのめりのレビュー・感想・評価

奇妙なこと(2022年製作の映画)
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境目のない劇中劇が展開され、どこまでが「舞台」なのか考えるのが楽しい映画。

ノフリオとバスティアーノは立場、言動、振る舞いが非常にピランデッロ的な人物で、ピランデッロはこうした体験に基づいて『作者を探す6人の登場人物』を書きましたよ、というお話として解釈するも良し。いやノフリオとバスティアーノはピランデッロの作品世界から飛び出した自律的な「登場人物」で、作者不在のまま自分たちで独自に演劇を展開していたところ、作者が彼らを探してやってきたのだ…と解釈するも良し。最後に二人が劇場から出られなくなってしまうのも示唆的。ローマでの彼らの居場所は劇場にしかないんよね。

余談だがイタリア映画祭での上映ではアンドー監督、トニ・セルヴィッロ、ジュリア・アンドーのQ&Aがあり、わたしの質問をピックアップしてもらえたのは嬉しいサプライズでした。セルヴィッロさんに「映画で演じるときと舞台で演じるとき、それぞれ好きなところを教えてください」と訊いたよ!
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