富樫鉄火

奇妙なことの富樫鉄火のレビュー・感想・評価

奇妙なこと(2022年製作の映画)
4.0
#76 イタリア映画祭、三本目
ピランデッロの『作者を探す6人の登場人物』誕生秘話。
といっても内容は創作だそうだが、それでも、なるほど、こういう出来事があったから、ああいう不思議な芝居が生まれたのかと、十分納得できる話になっている。
演劇関係者は、全員、観ておくべき映画だと思った。
昔ながらのイタリア喜劇のテイストを残しながら、ちゃんと現代的な映画になっているところも、うまい。
Q&Aは、監督、助演女優(監督の娘)、そして主演のトニ・セルヴィロまでが来日登壇する贅沢さ。
なかなか面白い話だった。
特に監督が、『アンナ・カレーニナ』や、谷崎、川端などをあげて、一流の物語の素晴らしさを語ったのが印象的だった。
セルヴィロさんは、日本人の「儀式」のようなたたずまいのなかにある、ていねいな心遣いに心底感動してくれたようで、とてもうれしく思った。
こういうひとときが、イタリア映画祭ならではのものだと感じた。
富樫鉄火

富樫鉄火