過去と現在の自分が同居する異色の構成。演奏シーンなど演劇的な見せ方で好き嫌いは間違いなく分かれる作品。個人的にはアリ。
共存するピアノの黒白の鍵盤のように過去の自分あっての今ということだろう。
クリスタル・ケイの歌声が素晴らしい。
生きていれば久しぶりに会った人に「変わったね」と言われることもあるでしょう。もちろん逆の「変わってないね」も。
ただどちらにせよ自分は自分。他人にどう言われようと今ある自分は過去あってのこと。
だから本作は構成が複雑に見え理解し難くも感じますが、異なる時間軸の自分が同居するだけ。ありのままを感じれば良いと思いました。
しかも意外にコミカルなシーンが多い。
ジャズ音楽ということもあり、割と音楽を真面目に聴かせる、考えさせるような映画かと思いきや、結構ふざけています。
演出が舞台的なところが多く、その大袈裟さやフィクション性の強さに意表をつかれて戸惑っちゃう人もいるかもしれません。
ただ、僕は結構笑っちゃいましたね。
森田剛の使い方とか絶妙だし、高橋和也がこれまたかっこいいんですよ。
松尾貴史もなかなかのクズっぷりだし、彼らの終盤の使い方がこれまた面白い。ここを受け付けないって人はいるかも。
あとはピアノの音色は見事で、ヒューマントラストシネマ渋谷のOdessaで鑑賞しましたが、やはり音が良い劇場で観るのをおすすめします。
クリスタル・ケイのさすがの歌唱力も聴きごたえ抜群です。
というか予告は良い場面見せすぎだなって思いました。まぁあのシーン以外が地味すぎるので、予告的にハイライト作ろうとしたらクライマックス使わざるを得なかったのかもしれませんが。
〈キャスト〉
南/博(池松壮亮)
千香子(仲里依紗)
あいつ(森田剛)
リサ(クリスタル・ケイ)
K助(松丸契)
曽根(川瀬陽太)
門松(杉山ひこひこ)
Y子(中山来未)
宅見(佐野史郎)
南の母(洞口依子)
熊野(松尾貴史)
三木(高橋和也)
※2023年新作映画139本目
