ぴあ高校生だった

キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩のぴあ高校生だったのレビュー・感想・評価

3.5
 戦前戦中戦後にドイツやその周辺で起こったことを、よりリアルに描ける最近の風潮は大いに賛成です。一方で昔ソ連時代に描かれた戦争を賛美しない、生の人間を愛らしく描いた作品も大好きです。
 なので、実はその時代にドイツ~ロシアで起こったことは朧気ながらも広く浅く知っているつもりでした。しかしながら今作品で描かれた旧ポーランド東半で起こった複雑な政治的民族問題、またその中で家族を、子供たちを一番に生き続けた人々の物語があったことを想像だにしていませんでした。

 技術的には音声(アフレコ)のずれや、不一致感を感じてしまう点もありましたが、今回は純粋にその地域で起こった歴史の真実として、この作品を鑑賞しました。
 主題となったウクライナの曲は、必ずしもメロディアスな日本人になじみのある曲ではありませんが、何度となく流れるうちに徐々にシンパシーが湧いてきました。しかしそれをソ連の施設で自信をもって人々の前で謳った女の子の場違いさは、痛々しい物でした。その収容施設も、主な舞台となった町も、ウクライナ紛争を彷彿とさせるように、今では東西に国境が動き国が入違っています。
 まだまだ知らないことの多い同地域、また世界中の隠れている歴史に対する興味を掻き立てられる作品でした。