このレビューはネタバレを含みます
#112
今回の侵攻を予告したようにも見えるが、ソ連によるウクライナ差別は、以前より『赤い闇』「世界が引き裂かれる時』などで何度も映画の重要モチーフとなっており、さほど珍しいことではない。
だが本作は、脚本で失敗している。
1978年と戦時中を交錯させた構成がミソだが、前者パートがあまりに薄く、ラストが生きてこない。
ヤロスラワがいかにしてシベリアから釈放され、アメリカに出国できたのか。
おそらく残り2人が彼女を探し出す壮絶な苦労があったはず。
そこを描いてこそ、ようやく1978年になって彼女たちの「戦争」が終わった感動があるはず。
なのに、突然、あんなラストを見せられても、わけがわからない。
おなじ戦後再会モノに『キリング・フィールド』があったが、あちらは、そこをキチンと描いていたので、号泣できた。
おそらくウクライナ侵攻がなければ、本作の日本公開はなかったのでは。