ぶみ

リゾートバイトのぶみのレビュー・感想・評価

リゾートバイト(2023年製作の映画)
4.0
リゾートの楽しさは恐怖に塗りつぶされてゆく。

2009年に「ホラーテラー」(怖い話投稿サイト)に投稿された後、「2ちゃんねる」に再投稿されると話題となった都市伝説を、長年謎とされてきた投稿者「日向麦」の協力を得て、永江二朗監督、伊原六花主演により映像化したホラー。
とある島のリゾート地にある民宿で住み込みアルバイトを始めた大学生に巻き起こる奇妙な出来事を描く。
主人公となる大学生・内田桜を伊原、幼なじみで桜とともにバイトをする真中聡と華村希美を藤原大祐と秋田汐梨、民宿の主人を坪内守、女将を佐伯日菜子、使用人を松浦祐也が演じているほか、島の寺の住職として梶原善が登場。
永江監督と言えば、近年ネット怪談を映像化しており、本作品は第1弾『真・鮫島事件』、第2弾『きさらぎ駅』に続く3作目となっているが、この都市伝説については、恥ずかしながら今般初めて知った次第。
物語は、ある島の海岸に佇む旅館でリゾートバイト生活を楽しむ桜、聡、希美の3人が、使われていない2階に夜な夜な食事を運ぶ女将の姿を目撃したことをきっかけに、不可解な出来事が巻き起こる様が描かれるのだが、主要な登場人物は、前述の3人に加え、旅館の3人と、寺の住職の計7人のみであるため、設定が非常にわかりやすいのは、素晴らしいところ。
何より、イメージビジュアルに「絶対に先が読めない86分」とあるように、ベースはホラーとしておきながら、中盤に梶原演じる住職が登場してからの展開は、確かに想像の遥か斜め上をいくものであり、ここは、是非予備知識なしで観てもらいたいところで私的には大アリ。
また、作品内では、島の場所は明示されていないが、実際には岡山県笠岡市にある日本遺産「石の島」の構成文化財の一つである、国指定名勝「白石島」でオールロケされたとのことである反面、リゾートバイトと言う割には、古風な旅館や、人気のない浜辺等、リゾート感があまりなかったのは、いささか残念。
女将を演じた佐伯の姿を久々に見たが、その笑顔のホラー感は抜群であると同時に、他のキャストも皆ハマり役であり、私が観た10月20日公開作品(『極限境界線 救出までの18日間』『カンダハル 突破せよ』『おまえの罪を自白しろ』『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』『ザ・クリエイター/創造者』)のうち、どう考えてもダントツで予算が少なく、チープ感があるものの、ホラーエンタテインメントとして何気に本作が一番面白く、その結末については、是非その目で確かめてもらいたい怪作。

中年には、用はない。
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